他所の夫婦のことなので恐縮だが、夫婦というのは何処も同じだなという話を聞いた。中元のこの時期、ダンナが親族に贈った品が「貧相だ」とカミさんが怒ったそうだ。「これじゃー、仏壇に供える品みたいじゃーない。どうしてもっと見栄えのある物にしてくれなかったの」と。
聞けば長い間、ダンナの友人に頼んで送ってもらっていると言う。ダンナは適当な人なので、贈る品物も時期も友人に任せて来た。マンゴーの時もあれば、桃の時もあったが、そういう時に限って痛んだ品があったりしてクレームが来たりした。
それでもダンナは、「忙しい時に、儲かりもしないのに、手間がかかることを頼むんだから」とのんびりしている。カミさんはそういう無責任な態度が気に入らない。「どうしてもっときちんと頼まないの」と、腸が煮えくり返っている。包丁でも手にしたら、切りかかりそうな鬼相になっている。
「お金がもったいないと、奥さんは怒っているの?」と聞けば、「費用はダンナの小遣いから捻出している。奥さんが腹が立つのは、ダンナのいい加減さなんだと思う。何でも適当でいいという態度が気に入らないのだ」と教えてくれる。
我が家で言うなら、私は台所に食器が山積みになっているのが嫌だ。子どもの頃、台所の流し台にナメクジがいっぱいいたことのトラウマだろう。「気が付いた人がやればいいのよ」という我が家の鉄則に従い、私は進んできれいにしている。
贈り物が気に入らないのなら、奥さんが決めたらよいのにと思う。どうせダンナは適当な人なんだから、「それでいいじゃない」としか言わないだろう。そんなに血相を変えるまで腹が立つなら、その方が健康的ではと思う。
宇野千代の『色ざんげ』に、ダンナが何やっていても全く関心のないカミさんが出てくる。「関心を持ってもらえるだけ、この人は幸せなんじゃーない」と私が言うと、「そうかなあー」と納得がいかない顔をした。
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