風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

デパート

2010-01-31 12:46:49 | 時事放談
 先週は、西武百貨店・有楽町店と阪急百貨店・四条河原町店が閉店されることが相次いで発表されました。いずれも地域の大企業や商業施設が集積する好立地にあって、単なる小売業にとどまらず、若者向け流行や文化の発進地としても隆盛を極めましたが、消費者の百貨店離れが言われて久しく、リーマン・ショック以降の景気低迷が止めを刺したといったところなのでしょう。
 さらに有楽町は、周辺地域の再開発が進み、人の流れが変わったとも言われます。丸ビルや新丸ビルのショッピング・ゾーンや豊洲には商業施設ららぽーとがあります。有楽町も、2001年に有楽町そごうが撤退した読売会館ビルにビックカメラが入ったのは衝撃的でしたが(「有楽町で逢いましょう」は、そごうの東京進出に一役買っていた大映映画がキャンペーンのために制作した映画の主題歌だったそうです)、2007年には丸井を中核店舗とする有楽町イトシアがオープンしましたし、今秋には三越本館増床と別館跡地に建設する新館とで売場面積は1.8倍になるそうです。京都でも、JR京都駅に直結した「ジェイアール京都伊勢丹」が開業して以来、買い物客の流れが分散したと言われます。
 私が子供の頃は、デパートと言えば、高級感溢れて、年にそうそう訪れる場所ではなく、たまに訪れると屋上の遊園地で遊んだり、見晴らしの良いレストランでお子様ランチを食べるのがささやかな贅沢と言われた、幸せな時代でした。今では人が集まる場所は屋上から地下に移動し、デパ地下が文字通りデパートの屋台骨を支えているような気息奄々たる状況で、デパートを取り巻く環境は実に厳しい。消費者の意識や行動が多様化する中で、躍進するユニクロに代表されるカジュアル衣料店やネット通販と比較すると、定価販売で売れ残った在庫を返品できる旧態依然としたビジネス形態を続けるデパートは、その大きさとも相俟って、環境変化に取り残されてしまった恐竜のような印象です。ダーウィンが言ったように、生き残るのは強い者(あるいは大きいもの)ではなく、変化によく対応するものなのだということを、実感します。
 学生時代を京都で過ごした私には、むしろ阪急百貨店・四条河原町店の方が馴染みが深い。阪急京都線のターミナル駅・河原町駅に直結した利便性と、四条河原町という一大繁華街の顔として、買物はしたことがなくても、渋谷ハチ公前と同じくらい待ち合わせの場所として有名で、何度もお世話になった場所でした。買物の場と言うよりも、人々が集まる場として、その閉店は、時代の流れとは言え、感傷的な気分になります。
コメント
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