モノへのこだわりがあるのは、多かれ少なかれ私の世代(とそれ以上)の特徴だろうと思います。モノがだんだん溢れて行くのを身近に感じながら、おいそれとは手が届かなかった世代です。それでも女性は現実的で、モノへの思い入れは余りなさそうに見受けられます。さらに私の場合、就職するまで日本を出たことがなくて、いきなり海外の仕事に放りこまれて出張が多くなって、自ら稼いだ金をチマチマと注ぎ込むDuty Freeマニアになるまで時間がかかりませんでした。折からのバブル経済とも相俟って、ネクタイはジバンシー、財布はダンヒル、時計はオメガ、万年筆はモンブラン・・・今、思うと、20歳過ぎの男が厭味ったらしいほどのはじけ振りです。さすがにバブルがはじける頃には、ブランド少年の心もあえなくはじけましたが・・・。
今では年相応に色気もへったくれもありゃしません。ところが、モノへのこだわりの思いだけは相変わらずで、最近は、納得のいく三色ボールペンがないかと探しています。かつて「三色ボールペン情報活用術」(斎藤孝著)なる本を知人に勧められるまま斜め読みして利口になったわけではないのは、単に部内と部外と社外とで赤と青と黒を使い分けるだけの単純なところからも明らかです。齢を重ねたからこそ、モンブランではなくて、実用的だけれども洗練された三色ボールペンが欲しい、そう思い続けて久しいのですが、あのペンの頭のボタンだけは頂けない。如何にも一本で三色や四色、さらにプラス1(シャーペン)という、40年来変わらない高度成長期そのままの便利さ丸出しデザインが気に入らなくて、それならいっそのこと、会社で支給される一本50円?のボールペン三本を持ち歩いています。
先日、虎の門に外出したついでに、ぶらりと文房具屋に立ち寄った時のことでした。やっぱり三色ボールペンはどこも同じかと諦めて帰りかけたところ、ふと目に留まったボールペンは、三色ではない、手のひらに収まる短めのサイズのごく普通のボールペンですが、艶のある木目調で木の温かみを感じさせるデザインがスタイリッシュで、手に持つとずしりと適度に重いのも好感が持てます(カメラに手振れしない重さが必要なように、ボールペンにも書きやすい重さがあります)。中でも、押すのではなく引っ張ると芯が飛び出す細工が秀逸で、ポケットに入れても安心です。定価2310円。なんだかこのまま別れるのが名残り惜しくて、手のひらでこねくり回していると、ニコニコとおばさん店員が近づいてきて、なかなか素敵でしょ、イタリア製だけど、ゼブラの替え芯と互換性があるから安心、今なら二割引き、などと甘い誘いの言葉を繰り出され、私の足は、モノを手にしたまま自然にレジの方に向かっていました。
Fiorentinaと言うブランドです。サッカー・クラブのACFフィオレンティーナと関係があるのかないのか分かりませんが、本拠地フィレンツェとは縁があるようで、Googleで探すと、メーカーのサイトは見つかりませんが、楽天などのネット販売サイトがひっかかり、「イタリア・フィレンツエのドゥオモの外壁の色をモチーフにした、自然な温かみある木軸筆記具。他の筆記具と差をつける、今までにない色合いに一目惚れ。高度な染色技術と合板技術の融合が、この新感覚の筆記具を生み出します」とか、「イタリア北部コモ湖地方の世界に誇る染色技術のもとに、メープル材を染色し、スライスして合板するという手法で生み出された特殊素材を使用しています。染色木材の色の組み合わせと、それらをいろいろの角度・形状に掘り出すという手法で、フィンレンツェのシンボルでもある「花の聖母教会」の壁面のモザイク模様をモチーフにして美しい幾何学模様を実現しています」などといった宣伝文句が踊っています。さる愛用者のブログには、普通サイズのボールペンの方は、伊藤屋の「ROMEO easyFLOW」と言う替え芯がそのまま使えるという情報も出ていました。
まるでオモチャを買ってもらったばかりの子供のように、時々、ポケットに手を突っ込んでは、もてあそんでいます。そうか、形而上学的なものへの志向は青年の証拠であるように、モノへのこだわりは子供の心のままということかも知れません。
今では年相応に色気もへったくれもありゃしません。ところが、モノへのこだわりの思いだけは相変わらずで、最近は、納得のいく三色ボールペンがないかと探しています。かつて「三色ボールペン情報活用術」(斎藤孝著)なる本を知人に勧められるまま斜め読みして利口になったわけではないのは、単に部内と部外と社外とで赤と青と黒を使い分けるだけの単純なところからも明らかです。齢を重ねたからこそ、モンブランではなくて、実用的だけれども洗練された三色ボールペンが欲しい、そう思い続けて久しいのですが、あのペンの頭のボタンだけは頂けない。如何にも一本で三色や四色、さらにプラス1(シャーペン)という、40年来変わらない高度成長期そのままの便利さ丸出しデザインが気に入らなくて、それならいっそのこと、会社で支給される一本50円?のボールペン三本を持ち歩いています。
先日、虎の門に外出したついでに、ぶらりと文房具屋に立ち寄った時のことでした。やっぱり三色ボールペンはどこも同じかと諦めて帰りかけたところ、ふと目に留まったボールペンは、三色ではない、手のひらに収まる短めのサイズのごく普通のボールペンですが、艶のある木目調で木の温かみを感じさせるデザインがスタイリッシュで、手に持つとずしりと適度に重いのも好感が持てます(カメラに手振れしない重さが必要なように、ボールペンにも書きやすい重さがあります)。中でも、押すのではなく引っ張ると芯が飛び出す細工が秀逸で、ポケットに入れても安心です。定価2310円。なんだかこのまま別れるのが名残り惜しくて、手のひらでこねくり回していると、ニコニコとおばさん店員が近づいてきて、なかなか素敵でしょ、イタリア製だけど、ゼブラの替え芯と互換性があるから安心、今なら二割引き、などと甘い誘いの言葉を繰り出され、私の足は、モノを手にしたまま自然にレジの方に向かっていました。
Fiorentinaと言うブランドです。サッカー・クラブのACFフィオレンティーナと関係があるのかないのか分かりませんが、本拠地フィレンツェとは縁があるようで、Googleで探すと、メーカーのサイトは見つかりませんが、楽天などのネット販売サイトがひっかかり、「イタリア・フィレンツエのドゥオモの外壁の色をモチーフにした、自然な温かみある木軸筆記具。他の筆記具と差をつける、今までにない色合いに一目惚れ。高度な染色技術と合板技術の融合が、この新感覚の筆記具を生み出します」とか、「イタリア北部コモ湖地方の世界に誇る染色技術のもとに、メープル材を染色し、スライスして合板するという手法で生み出された特殊素材を使用しています。染色木材の色の組み合わせと、それらをいろいろの角度・形状に掘り出すという手法で、フィンレンツェのシンボルでもある「花の聖母教会」の壁面のモザイク模様をモチーフにして美しい幾何学模様を実現しています」などといった宣伝文句が踊っています。さる愛用者のブログには、普通サイズのボールペンの方は、伊藤屋の「ROMEO easyFLOW」と言う替え芯がそのまま使えるという情報も出ていました。
まるでオモチャを買ってもらったばかりの子供のように、時々、ポケットに手を突っ込んでは、もてあそんでいます。そうか、形而上学的なものへの志向は青年の証拠であるように、モノへのこだわりは子供の心のままということかも知れません。