風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

スバルというブランド

2012-08-26 10:49:44 | ビジネスパーソンとして
 一昨日の夜、あるニュース番組で、この不景気にも係わらず業績を伸ばしている企業として、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドとともに、スバル・ブランドで特に米国市場で売上を伸ばす富士重工業が取り上げられていました。共通するポイントとして、リピーターをつかんで離さないことが挙げられていました。ディズニーランドでは実に90%がリピーターだそうですし、スバルについても、ポルシェやBMWやベンツと比べて遜色がないと、あるアメリカ人マニアがTVカメラの前で得々と語っていたのが印象的でした。
 かれこれ20年近く前、アメリカ出張で、たまたまトヨタやニッサンがなくて、スバル・レガシィをレンタルしたことがありました。私にとって生まれて初めての四駆だったので、ちょっと重い感じがしたのはやむを得ないとして、乗り心地は完璧で、地味ながらとても良い印象が残っています。
 なんと言っても富士重工業と言えば、戦前の航空機メーカー・中島飛行機の流れを汲む会社であり、「航空機に通じる機能性・合理性優先で、既成概念に囚われないユニークなメカニズムを特徴とする自動車を多く送り出してきて」「今なお日本の自動車メーカーの中でも特に技術至上主義の傾向が強い」(Wikipedia)会社です。マニアに言わせると、「燃費は多少譲っても、走行性と安全性が高ければよし」とし、「雨でも雪でも氷でもどんな道でも絶対的な安心を与えてくれる懐の深さ」があり、「派手さは無いが実直で頑なに良いモノ造り」をしており、「『所有する喜び』と『運転する楽しさ』を感じさせてくれる」・・・という意味では、ドイツのポルシェやイタリアのフェラーリなどの職人気質に通じるところがあるように思います。
 こうした消費者の好印象の経験はやがて「ブランド」として結実し、リピーターを生む好循環が生まれるのでしょう。
 私が3年前にアジア・大洋州事業をたたんで帰国するまでの3年間ほど、その製品事業でジャパン・プレミアムを印象づけるキャンペーンを張ったことがありました。今、後知恵で思うに、2~3年では短過ぎますし、投じた予算も少な過ぎた上に、そもそも「ジャパン・プレミアム」が生きる事業領域だったかどうかは甚だ疑問で、結果としてうまく行きませんでした。自動車業界は、コモディティでありながら、贅沢品でもあるという、極めてユニークな業界で、富士重工業は、20年間、地道に車そのものと言うよりレガシィ・ブランドを売り込んで、今の地位を築いたのでしょう。所謂一朝一夕で出来ることではありません。
 ポルシェやフェラーリを見るまでもなく、EV化する自動車業界で生き残る日本の自動車メーカーは、トヨタやニッサンやホンダではなく、富士重工業のような会社ではないかと思ったりします。
コメント
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