前回は、産経新聞の前ソウル支局長に対する在宅起訴の問題を巡る事実関係を追いました。国際人権団体・フリーダムハウスにとって韓国における言論と表現の自由度を問題視することはあっても、日韓関係そのものは所詮は他人事であり、「韓国の民主主義は未熟」の一言で済ませられますが、日本としては、政治、経済、そして安全保障でも相互に重要な隣人関係にあり、もう少しその背景に迫らないことには、解決の糸口は見つからないことになります。
先ずはっきりさせておかなければならないのは、韓国における表現や言論の自由の扱い、あるいはそのありようは、先進諸国に比べて後れており、制約を受けていること、国家権力による監視といった、ある種の管理社会的な恐ろしさに晒されているという事実です(アメリカにもそういうところはありますが、そもそも表現の自由は保障されています、つまり監視の目的が明確に異なります)。
例えば、今回、先月16日に朴槿惠大統領が国務会議で「国民の代表である大統領に対しての冒涜発言が度を過ぎている。これは国民に対する冒涜でもあり、国家のステータスを陥れ、さらには外交関係にまで影響を及ぼしかねない」と発言したのを受けて、2日後の18日、大検察庁は「サイバー上での虚偽事実の流布への対応策」を設けたと発表したそうです。専担の捜査チームを組織してオンライン・モニタリングを実施し、虚偽事実流布の事犯を見つけ出すというのです。これを聞いたモバイル・メッセンジャーを使っている多くの人が、プライベートなメッセージが監視下に置かれることを心配し、韓国籍ではない外国籍のサーバーに本拠地を置いているネットサービスへ移動する、所謂「サイバー亡命」現象が起こっているそうです。この韓国の「サイバー亡命」ブームは、実は三度目で、既に過去に二度あったといいます。最初は2007年、政府が「インターネット実名制」を導入したことがきっかけで、韓国のブログやコミュニティの運営者たちが続々と海外サイトに移り、続いて2009年、検察がMBC(韓国の放送キー局の1つ)の「PD手帳(番組名)」のスタッフを捜査した際、この番組の構成作家たちのメールを公開したのがきっかけで、韓国人は、国家機関が自分たちのメールをいつでも覗き見ることができることに驚き、海外にサーバーを置いたグーグルのGメールにアドレスを変更する人たちが急増したのだそうです(このあたりの事情は、梨花女子大学やソウル同時通訳大学院大学で教鞭をとるアン・ヨンヒさんによる)。私たち日本人には俄かに想像できない異次元の動きとは言えないでしょうか。
その上に、以前、ブログに書いたことですが、日本では犬も食わない夫婦喧嘩を、韓国では恥と思わず、むしろ表通りに出て積極的に自己の正当性を大声で訴えたり、はたまたサムスンのような大企業であっても、出世のためには同僚をあからさまに誹謗中傷したりすることを厭わない、韓国人の恥も外聞もない国民性の異常さが覆いかぶさります(韓国人にとっては、異常だと感じる日本人こそ異常だと思っていることでしょうが)。朴槿恵大統領が、就任後、他所の国でさんざん日本の悪口を喧伝し続ける所謂「告げ口外交」は、まさにその類いだろうと想像されます。どうやら韓国のこうした世間体を顧みない見境のなさは、相手が日本だと倍加するように思われます。一般に韓国においては、日本に対して何を言っても許されるという風潮が見られるようで、日本人の私たちには「未熟さ」故の甘えにしか映りませんが、韓国人学者の話を聞くと、東アジアという独特の政治環境の中で、歴史的に超大国に常に隣り合わせることによって育まれてきた事大主義と、その裏腹としての小中華思想、あるいは華夷秩序に基づき日本を「蛮夷」(正確には東夷)と見なす優越意識から来る民族文化的なもののようです。その優越意識が素直に満足されれば丸くおさまるところですが、秀吉の出兵といい、韓国併合といい、歴史的に「蛮夷」に攻められ、ついには支配されるという屈辱に、彼らのナショナリズムは大いに傷つけられ打ちのめされて来ました。ここ10年で、ようやく国力が充実し、まがりなりにも先進国の仲間入りを果たしたからには、野蛮で文化的に劣る日本何するものぞとの思いがもたげてきたのかも知れません。彼らにとってはようやく到達した境地であり、私たちには自信過剰と言うより異様に映りますが、その醜さが諸外国の目にどう映じるかを顧みる余裕もないようです。
例えば、朴槿恵大統領にしても韓国外務省にしても、何かというと従軍慰安婦問題で「日本こそ(被害者が納得できる具体的な)解決策を示せ」と、日本に責任を転嫁して理不尽な要求を続けます。これは元をただせば、3年前の8月末、韓国の憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求で韓国政府が措置を講じなかったのは違憲との判断を示したことに起因します。李明博前大統領が野田前総理との会談でしつこく従軍慰安婦問題ばかりを話題にしたのも、またそのときに相手にされなかったものだから後に竹島に上陸し、さらに天皇陛下を貶める発言をしたのも、政権末期の反日の通例と見なすことも出来ますが、直接にはこの判決に依るものと思われます。しかし、1965年の日韓基本条約で、韓国の日本に対する一切の請求権は解決済みであるのは周知の通りであり、元慰安婦への賠償は韓国の国内問題とする政権もかつてはあったにも関わらず、今頃になって、いわば国内法が国際条約に優越する異常は、私たちにはもはや理解不能です。こうしたところからも、韓国は法治国家としてもまだまだ「未熟」と言わざるを得ないのですが、韓国の司法に関しては、政権や世論の動向に影響を受けやすいと指摘されることがあり、先に述べたような民族的な「気分」が反映されているのでしょう。韓国の知識人は「我が国には憲法よりも上に『国民情緒法』なるものがある」としばしば苦笑して語るのを、日経の鈴置高史さんは嘆いて(呆れて)おられます。いずれにせよ、韓国政府はその努力不足?を指摘されたために(努力不足も何も、日韓基本条約で解決済みなのですが)、野党の追及をかわすためにも、朴槿恵大統領としては、日本に対して要求し続ける必要があるわけです。
その憲法裁判所の判決が出る一ヶ月ほど前の2011年8月1日、自民党の新藤義孝衆院議員、稲田朋美衆院議員、佐藤正久参院議員が「独島博物館」を見学・調査するとして鬱陵島に渡るべく韓国へ渡航しましたが、金浦空港にて入国を拒絶されるという事件がありました。記憶されている方もおられることでしょう。実はその第一陣は下條正男・拓殖大教授で、やはり空港で拒絶され、第三陣は、今回、在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長で、まんまと突破し、「独島博物館」の展示状況を見学し報道することが出来たそうです。この博物館は、竹島(独島)を韓国が領有することをアピールするべく、国内外で収集した資料を中心に独島義勇守備隊同志会の資料などを加えて、1997年8月に韓国内唯一の領土博物館として開館したものです(Wikipedia)。下條教授は、今回の在宅起訴は、このときの意趣返しではないかと話しておられました。そもそも産経新聞自体が韓国人には不愉快で評判がよろしくありません(私たちには産経新聞の方がまだまともで、韓国や中国に過剰におもねる朝日新聞の方が不愉快ですが)。日本への恨み千年を口にする大統領ですから、さもありなんと思わせます。
こうして、中国が愛国無罪なら、韓国は、その政治やマスコミのありようから、もっと直截に反日無罪と言うべきでしょうか。その民族的記憶は、政局の中で反復利用され、風化してひからびることはなく、最近の国力増強と相俟って、むしろ高まっています。中国や韓国との関係で、日本政府に妙な妥協はして欲しくありませんので、政治に今の日中関係や日韓関係を劇的に改善するのを期待するのはなかなか難しいと思われます。最近、日本を訪問する中国人が増えて、中国政府のプロパガンダは間違っているという声がネットに広がるようになったそうですので、迂遠なようですが、韓国においても、民間の各層で関係改善の取組みを進めるしかないように思います。
産経新聞の前ソウル支局長に対する在宅起訴の問題は、一体、いつまで暴走するのか、よく分かりませんが、どうも民族の沽券に係わることのようなので、前ソウル支局長氏には毅然と対応して欲しいと思います(今のところその通りに進んでいるようですが)。
先ずはっきりさせておかなければならないのは、韓国における表現や言論の自由の扱い、あるいはそのありようは、先進諸国に比べて後れており、制約を受けていること、国家権力による監視といった、ある種の管理社会的な恐ろしさに晒されているという事実です(アメリカにもそういうところはありますが、そもそも表現の自由は保障されています、つまり監視の目的が明確に異なります)。
例えば、今回、先月16日に朴槿惠大統領が国務会議で「国民の代表である大統領に対しての冒涜発言が度を過ぎている。これは国民に対する冒涜でもあり、国家のステータスを陥れ、さらには外交関係にまで影響を及ぼしかねない」と発言したのを受けて、2日後の18日、大検察庁は「サイバー上での虚偽事実の流布への対応策」を設けたと発表したそうです。専担の捜査チームを組織してオンライン・モニタリングを実施し、虚偽事実流布の事犯を見つけ出すというのです。これを聞いたモバイル・メッセンジャーを使っている多くの人が、プライベートなメッセージが監視下に置かれることを心配し、韓国籍ではない外国籍のサーバーに本拠地を置いているネットサービスへ移動する、所謂「サイバー亡命」現象が起こっているそうです。この韓国の「サイバー亡命」ブームは、実は三度目で、既に過去に二度あったといいます。最初は2007年、政府が「インターネット実名制」を導入したことがきっかけで、韓国のブログやコミュニティの運営者たちが続々と海外サイトに移り、続いて2009年、検察がMBC(韓国の放送キー局の1つ)の「PD手帳(番組名)」のスタッフを捜査した際、この番組の構成作家たちのメールを公開したのがきっかけで、韓国人は、国家機関が自分たちのメールをいつでも覗き見ることができることに驚き、海外にサーバーを置いたグーグルのGメールにアドレスを変更する人たちが急増したのだそうです(このあたりの事情は、梨花女子大学やソウル同時通訳大学院大学で教鞭をとるアン・ヨンヒさんによる)。私たち日本人には俄かに想像できない異次元の動きとは言えないでしょうか。
その上に、以前、ブログに書いたことですが、日本では犬も食わない夫婦喧嘩を、韓国では恥と思わず、むしろ表通りに出て積極的に自己の正当性を大声で訴えたり、はたまたサムスンのような大企業であっても、出世のためには同僚をあからさまに誹謗中傷したりすることを厭わない、韓国人の恥も外聞もない国民性の異常さが覆いかぶさります(韓国人にとっては、異常だと感じる日本人こそ異常だと思っていることでしょうが)。朴槿恵大統領が、就任後、他所の国でさんざん日本の悪口を喧伝し続ける所謂「告げ口外交」は、まさにその類いだろうと想像されます。どうやら韓国のこうした世間体を顧みない見境のなさは、相手が日本だと倍加するように思われます。一般に韓国においては、日本に対して何を言っても許されるという風潮が見られるようで、日本人の私たちには「未熟さ」故の甘えにしか映りませんが、韓国人学者の話を聞くと、東アジアという独特の政治環境の中で、歴史的に超大国に常に隣り合わせることによって育まれてきた事大主義と、その裏腹としての小中華思想、あるいは華夷秩序に基づき日本を「蛮夷」(正確には東夷)と見なす優越意識から来る民族文化的なもののようです。その優越意識が素直に満足されれば丸くおさまるところですが、秀吉の出兵といい、韓国併合といい、歴史的に「蛮夷」に攻められ、ついには支配されるという屈辱に、彼らのナショナリズムは大いに傷つけられ打ちのめされて来ました。ここ10年で、ようやく国力が充実し、まがりなりにも先進国の仲間入りを果たしたからには、野蛮で文化的に劣る日本何するものぞとの思いがもたげてきたのかも知れません。彼らにとってはようやく到達した境地であり、私たちには自信過剰と言うより異様に映りますが、その醜さが諸外国の目にどう映じるかを顧みる余裕もないようです。
例えば、朴槿恵大統領にしても韓国外務省にしても、何かというと従軍慰安婦問題で「日本こそ(被害者が納得できる具体的な)解決策を示せ」と、日本に責任を転嫁して理不尽な要求を続けます。これは元をただせば、3年前の8月末、韓国の憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求で韓国政府が措置を講じなかったのは違憲との判断を示したことに起因します。李明博前大統領が野田前総理との会談でしつこく従軍慰安婦問題ばかりを話題にしたのも、またそのときに相手にされなかったものだから後に竹島に上陸し、さらに天皇陛下を貶める発言をしたのも、政権末期の反日の通例と見なすことも出来ますが、直接にはこの判決に依るものと思われます。しかし、1965年の日韓基本条約で、韓国の日本に対する一切の請求権は解決済みであるのは周知の通りであり、元慰安婦への賠償は韓国の国内問題とする政権もかつてはあったにも関わらず、今頃になって、いわば国内法が国際条約に優越する異常は、私たちにはもはや理解不能です。こうしたところからも、韓国は法治国家としてもまだまだ「未熟」と言わざるを得ないのですが、韓国の司法に関しては、政権や世論の動向に影響を受けやすいと指摘されることがあり、先に述べたような民族的な「気分」が反映されているのでしょう。韓国の知識人は「我が国には憲法よりも上に『国民情緒法』なるものがある」としばしば苦笑して語るのを、日経の鈴置高史さんは嘆いて(呆れて)おられます。いずれにせよ、韓国政府はその努力不足?を指摘されたために(努力不足も何も、日韓基本条約で解決済みなのですが)、野党の追及をかわすためにも、朴槿恵大統領としては、日本に対して要求し続ける必要があるわけです。
その憲法裁判所の判決が出る一ヶ月ほど前の2011年8月1日、自民党の新藤義孝衆院議員、稲田朋美衆院議員、佐藤正久参院議員が「独島博物館」を見学・調査するとして鬱陵島に渡るべく韓国へ渡航しましたが、金浦空港にて入国を拒絶されるという事件がありました。記憶されている方もおられることでしょう。実はその第一陣は下條正男・拓殖大教授で、やはり空港で拒絶され、第三陣は、今回、在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長で、まんまと突破し、「独島博物館」の展示状況を見学し報道することが出来たそうです。この博物館は、竹島(独島)を韓国が領有することをアピールするべく、国内外で収集した資料を中心に独島義勇守備隊同志会の資料などを加えて、1997年8月に韓国内唯一の領土博物館として開館したものです(Wikipedia)。下條教授は、今回の在宅起訴は、このときの意趣返しではないかと話しておられました。そもそも産経新聞自体が韓国人には不愉快で評判がよろしくありません(私たちには産経新聞の方がまだまともで、韓国や中国に過剰におもねる朝日新聞の方が不愉快ですが)。日本への恨み千年を口にする大統領ですから、さもありなんと思わせます。
こうして、中国が愛国無罪なら、韓国は、その政治やマスコミのありようから、もっと直截に反日無罪と言うべきでしょうか。その民族的記憶は、政局の中で反復利用され、風化してひからびることはなく、最近の国力増強と相俟って、むしろ高まっています。中国や韓国との関係で、日本政府に妙な妥協はして欲しくありませんので、政治に今の日中関係や日韓関係を劇的に改善するのを期待するのはなかなか難しいと思われます。最近、日本を訪問する中国人が増えて、中国政府のプロパガンダは間違っているという声がネットに広がるようになったそうですので、迂遠なようですが、韓国においても、民間の各層で関係改善の取組みを進めるしかないように思います。
産経新聞の前ソウル支局長に対する在宅起訴の問題は、一体、いつまで暴走するのか、よく分かりませんが、どうも民族の沽券に係わることのようなので、前ソウル支局長氏には毅然と対応して欲しいと思います(今のところその通りに進んでいるようですが)。