風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アメリカ大統領選(後編)

2016-11-10 02:03:21 | 時事放談
 前回のブログで「今となってはどちらに転ぶか混沌とした・・・」と表現し、トランプ候補の逆転勝利の含みを持たせていたものの、誰しも見たくない夢は遠ざけるものである。トランプ候補勝利という、BREXITに続く想定外の事態に「またか」とは思わず、「まさか」とたまげてしまった。軍人としてもまた政治家としても経験がない米大統領は史上初めてだそうである(どうでもいいが、スロベニア=外国生まれのファーストレディーは、第6代アダムズ大統領のとき以来、約190年振りだそうである)。信用ならないクリントン候補と比べれば正直だと受けとめられていたのだろうが、「まさか」暴言癖まで許されていたとは思えない。それだけに、BREXIT同様、世界は、極めて不確実性が高い事態に再び直面することとなってしまった。早速、トランプ氏が優勢との報道を受けた時点で、カナダの移民局の情報提供サイトが閲覧不能になったと報じられた。カナダへの移民を考える利用者がいっせいに閲覧しようとした可能性があるとしている。ロイターは、米国市民によるニュージーランド入管当局ウェブサイトへのアクセスが急増したと報じた。なんだか馬鹿馬鹿しい話だが、まだまだ狂想曲は続きそうだ。
 振り返れば、6月に英国でBREXITが信認を得た日は外出の用事があり、いまだにガラケーでアナログな私は、帰宅途上の駅の売店で売られている新聞の見出しでそれと知って、ぶったまげたものだった。そして今日も、昼食を挟んで外出し、オフィスに戻ったのは午後1時半で、既にNYタイムズがトランプ氏の当選確率を94%と報じているのを見て、またしてもぶったまげてしまったものだ。もはや結果は自明だったものの、時代が変わる(!)その瞬間を見届けようと、夕方4時以降はCNNサイトのトップ頁の速報をチェックしながら、仕事どころではなかった(笑)。こうして就業時間中に外部情報をたれ流しにするのは、シドニー駐在時のメルボルン・カップ(オーストラリアで一年の内で最も盛り上がるイベント)以来である(笑・再)。社内のネットが繋がりにくかったところを見ると、同じような人が多かったのだろう。CNNがトランプ候補の過半数越えを報じたのは、4時40~50分頃だった。
 それにしても、前日の米・政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の世論調査(平均支持率)でも、クリントン女史45.5%、トランプ氏42.2%と、誤差の範囲(5%ポイント)とは言え、僅差でクリントン氏優位の結果が出て、多くのメディアも同様の論調で報じていた。トランプ氏は、クリントン女史に勝利したと言うより、敵失に助けられたに過ぎないと揶揄されるが、ほぼすべてを敵に回したメディアには勝利したと言える。選挙結果の分析はいずれ出て来るだろうが、既存の政治に不満を抱く白人の中・低所得層を基盤に無党派層などへ支持を拡大していたのは間違いない。選挙期間中、人種差別主義者や女性差別主義者などと扱われかねないのを懸念して、明瞭に意思表示していなかった「隠れトランプ支持者」が多かったということだろう。そのあたりの蓋を開けたら・・・のギャップはBREXITに似ている。CNNによれば、若者ほどクリントン支持、しかし投票率が低かったため、高齢者のトランプ支持が全体を制したといった現象もBREXITに似ている。
 早くも人々の関心は次の予想に向かっている。果たしてトランプ氏は、暴言の数々をそのまま実現するのか、それともやはりアメリカ政治は組織で動く以上、大統領一人で変わるものではなく、あるいはビジネスマンとして現実的な政権運営に向かって、落ち着くべきところに落ち着くのか、日本に影響がなく高見の見物が出来れば実に興味深いところなのだが。
コメント
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