風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

朝鮮半島情勢(後)

2019-08-03 11:30:57 | 時事放談
(後半部分を大幅に書き直しました)
 日韓の不幸とも言える歴史問題がで~んと横たわっているのは厳然たる事実であろうし、歴史的な東アジア秩序としての華夷秩序のもとで、本来の優越意識が屈折して却って劣等意識となって一部の韓国人の性根を歪めてしまっているのもまた事実であろう。極端なことを言えば、韓国が日本に対して、戦争あるいは何等かの別の形で明確に「勝った!」と思えるまで、続くことなのかも知れない。
 しかし、どうもそれだけでは納得しがたい。
 韓国の歴代大統領は、退任するや、自殺に追い込まれるか刑務所に送られて来たのは周知の事実で、近代民主国家では尋常なことではない。それだけ韓国という国は、これも儒教社会の故と言えるであろうが、三韓を起源として、内政における左右の対立が激しく(左右に北を加えれば三韓、三つ巴の争いになる)、この点にもっと注目されてもよいのではないかと思う。実際に、韓国内部でも歴史認識問題があって、文在寅大統領のようなバリバリの左派は、金大中氏よりも前のことを、独立した韓国の歴史だと認めていないと言われる。すなわち、朴クネさんのお父ちゃん(朴正煕)や1987年以前に保守・軍事独裁政権で活躍された面々は、日本統治に協力した「積弊」であって「清算」すべきものであること、従って、その当時締結された日韓基本条約を無視するとしても、文在寅大統領の頭の中では、独立国・韓国が締結したものではないから当然だと思っている可能性がある(もとより日本をはじめ国際社会は、外形的には1948年8月15日を以て韓国を独立国と見、従って、国内事情によって条約(日韓基本条約 1965年)をないがしろにするのは明確なウィーン条約違反と認識するのだが)。そして、韓国の内政の争いに、日本が政治利用されている・・・そんな被害妄想を、私は最近抱き始めている(笑)。
 さらに朝鮮半島の内政のレベルにとどまらない、地域の問題がある。
 学生時代、国際社会にはいくつもの(国の数だけ)「正義」(あるいは「常識」)があると学んだ。共通の価値観のもとに国家を形成し、憲法をはじめとして法整備し、警察制度と裁判制度を整えて、正義を認定して正義ではないものを取り締まって安定を図る国家のありようと、そうした共通の価値観を持ちにくいし強制力をも持たない国際社会のありようとは、明確に違うことを学んだ。それほど国際社会で合意を目指し、あるいは平和を語るのは難しい。ところが、中国や韓国の儒教社会では、自らに「正義」があると思い込んだが最後、相手を只管、非難する一方だから、始末に負えない。恨みは一代に留まらず、墓を暴くなど、一族の問題とみなすほど執念深い。すなわち自らが考える「正義」の前に時効はなく(盧武鉉政権の2005年「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」で、日本統治時代に協力した韓国人の財産を没収するという、法の不遡及と財産権の双方に抵触するような立法を行っている)、自らが考える「正義」の前には国際的な約束も劣後する(従軍慰安婦問題や徴用工問題)。日本は、秀吉の頃にまで遡って、その恰好のターゲットとなっている(しかし元寇のときには元による日本侵略のお先棒を担いだのは朝鮮族ではなかったかと言いたいところだが 笑)。その文脈で、中国にとって日本は対米交渉のカードになっているように、韓国にとって日本は内政でのポジション争いのカードになってしまっている。カードにされるだけの価値がそれなりにあることは喜ぶべきだが(苦笑)、まともに正面から扱われないのは実に腹立たしい(爆笑)。まあ、それはともかく、中国や韓国といった儒教社会のそれぞれの「正義」については我々も一応は理解するから、日本にもまた「正義」があることを彼らは一応は理解するべきであろう。それが近代国際社会の相互主義というものだし、日本国民の怒りの根源はそのあたりにありそうだ。しかし、彼らに近代国際社会の道理が通じるのか甚だ心許ないし、彼らの内政の不安定あるいは政治の弱さは、そうした余裕を許さないところが実に悩ましい。日本が戦争を引き摺り贖罪意識が濃厚な時代には、日本が譲歩することで遣り過ごすという、穏当な解決の仕方が続いたが、さすがに70年以上も経てば環境は変わる。いや、400年以上昔の秀吉のことをつい昨日のことのように語る民族にとって、70年前はついさっきの出来事なのかも知れないが・・・
 東アジアの秩序観なり歴史認識が特異であるのは、マレーシア駐在時代、中国系マレー人の上司との会話からも類推できる。日系企業に勤めながら、日本式経営に興味を持たれて、50を過ぎてから大学院に通うような勉強家で、漢字は読めるが英語しか話せない、イギリスの大学院留学という、言わば東南アジアの典型的なエリートと言えよう。その上司とは妙にウマが合って、いろいろな議論をしたのが懐かしいが、その中の一つで、彼は、日本はもっとアジアでリーダーシップを発揮するべきだと言う。10年ほど前のことである。いや、日本は太平洋戦争でアジア諸国に迷惑をかけたから、そのトラウマがあって、前に出るのを躊躇する(だからいつも後ろから支える)のだと答えると、戦争は今の日本人の世代の問題(責任)ではないと一喝された。同じアジアでも、東アジアと東南アジアは違うものだと、また同じ中国系民族でも華人(東南アジアで原地化した中国人)は違うものだと、感心したものだ。恨みが消えているとは言わない。しかし、過去は過去、私たちが生きているのは現在であって、現実的に対処する。
 韓国の現状は、文在寅という個人の問題だと考えたい心理が働くのを抑えることが出来ないのが正直なところで、実際に政策が上手く行かず、さらに彼の活動家としてのキャラクターによって増幅されている部分は大いにあると思うが、アメリカがドナルド・トランプという個人の問題ではないように、やはり、以上に述べて来たように、ちょっと極端ながらも、その国が行き着いた一種の「結果」あるいは「現象」と言うべきだろう。それがまがりなりにも自由な民主主義社会というものだ。韓国社会は、日本統治時代も含めて、高度に、しかしイビツに発展を遂げ、社会の分断を深めてきた。最近はトランプ大統領が雪解けさせようとちょろちょろ刺激を与えている南北境界線に象徴されるように、東西冷戦時代が凍結されたままで、根本的な解決に至っていないという問題も抱えている。
 百田尚樹さんは「やったで!韓国、ホワイト国除外決定!さあ、韓国がどんな報復措置を取ってくるか、楽しみ。頑張れ、韓国。底力を見せろ!」とツイッターで韓国を挑発したのは、ちょっとおふざけが過ぎるが(苦笑)、「マジレスすると、2019年8月2日は、日韓関係のターニングポイントになるだけでなく、日本という国家にとっても大きなターニングポイントの日となる気がする。というのも、戦後、日本が外国に対して決然とした態度を取った初めての日となったからだ」ともツイートされているのは、これもやや大袈裟ながらも、今回の日本国政府の態度には、韓国、ええ加減にしいや、という悪弊を断つ覚悟を感じるのは事実だ。
 さらに今後5年あるいは10年というスパンで考えると、中国による華夷秩序になびく南北朝鮮と、何故か昔から西欧寄りの日本が対峙する場面が容易に想像されるのである。かつての米ソ冷戦ではヨーロッパが正面だったのに対し、新・冷戦とも言われる米中対立では東アジアが正面となる。今はその序曲で、これから益々厳しくなるのではないか、日本はその覚悟と備えは出来ているのか・・・ということが問われなければならないのではないだろうか・・・とは、実に悲観的なブログだ(笑)
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朝鮮半島情勢(前)

2019-08-03 00:39:29 | 時事放談
 北朝鮮は相変わらずミサイルをぶっ放し(7月25日、31日に続き、この1週間余りで3回目)、相当、欲求不満がたまっているようだ。短距離弾道ミサイルらしいので、トランプ大統領を刺激しないよう配慮していることは読み取れる。もしこれがオバマ大統領だったら一顧だにされなくて、トランプ大統領だからこそ、交渉相手として望みを繋いでいるのだろう。しかし、北朝鮮には、ICBMも、搭載する核弾頭の小型化も、当面は開発に進展なし、とアメリカに見切られている可能性がある。そのため、トランプ大統領はBig Deal(核の完全放棄)にしか興味がないこととも相俟って、これに反応しない以上は、北朝鮮のことは放ったらかし、というわけだ。他方で、国連安保理による対北朝鮮制裁は続いており、北朝鮮は抜け穴を通してなんとか食い繋いでいるものの、厳しい状況が続く。つまり、これまでも本ブログで何度か言って来たように、時間は明らかにトランプ大統領に味方して、放ったらかしにしても、自らは何も失うものがないと確信しているのであろう、まさにトランプ大統領の思うツボ、トランプ大統領お得意のディールの罠に、金正恩委員長はまんまと嵌ってしまっている。金正恩委員長の欲求不満は、こうした膠着状態に自らの意思を貫けない、やり場のない怒りを反映しているように思われる(このあたりは飽くまで米朝の問題であって、日韓のリスクは残される)。
 ところが、このあたりの状況については、トランプ大統領を貶めたいマスコミは完全に誤解しているのではないだろうか・・・と、前置きはさておき。
 今日、日本国政府は、輸出管理で優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を、粛々と閣議決定した(因みにホワイト国という呼び方も変えた)。この一ヶ月の経産省(とりわけツイッターで事実を正確に伝えようと努力された世耕大臣)と菅官房長官のブレない一貫した対応は見事だった。
 輸出管理の企業実務を担当する人の目から見ると、韓国の対応は酷いようだ。昨日も河野外務大臣と韓国の外務大臣との会談がバンコクで行われたが、日本が安全保障理由で輸出管理の運用を見直そうとしているのに対し、では韓国の輸出管理に懸念があるとする日本の問題意識が具体的にどこにあり、それを是認して対策を打つのか、それとも反論して現状の管理体制の妥当性を証明するのか、いずれかの対応になるだろうと一企業人として期待するところだが、日経などの報道によれば、どうもそうではなく、韓国は「ホワイト国」から韓国を除外する方針の撤回を求めた、閣議決定される場合には必要な対抗措置を講じるしかない、などと、およそ大臣クラスの協議には程遠い、子供のケンカとしか思えないやりとりだというわけである(実は、韓国の外交は大統領府に牛耳られ、日本では官邸に出向中の経産省出身者に牛耳られ、双方で外務省が機能していないと言われるのは、事実だとすれば問題である)。
この一ヶ月、こと輸出管理に関して、韓国は戦略的ミスを犯したのではないかという。
 韓国は当初から輸出管理を理解していない、と言うよりも、理解しようとしないか理解していない振りをして、政治問題化して、連日、マスコミを通して感情的に大騒ぎして来た。今日の閣議決定を受けた文在寅大統領の発言は、とても理性ある自由・民主主義国のリーダーのそれではない。曰く、「韓国政府と国際社会の外交的解決努力を無視し、状況を悪化させた責任が日本政府にあるのが明確になった以上、今後起こる事態の責任も全面的に日本政府にあることをはっきり警告する」(一体いつから国際社会が同意したというのか?)、「強制労働禁止と三権分立に基づく民主主義という人類普遍の価値と国際法の大原則に違反する行為だ」(一体いつから強制労働禁止が民主主義の要件になったのか? あるいは人類普遍の価値にまで、他をさし措いて、高められたのか? そもそもいま問題の徴用工は強制ではなかった人たちだとされるがどうなのか、国内にあっては遡及効を認め、あるいはウィーン条約を無視しているのは韓国の方ではないのか、実に疑問が多いフレーズ)、「深刻に受け止めているのは、今回の措置が韓国経済を攻撃し、経済の未来成長を妨げ打撃を加える明らかな意図を持っているという事実だ」(今回の運用見直しのどこが韓国経済を攻撃するのか? 韓国経済の不振を日本のせいにする言い訳でしかない)といった塩梅である。所詮、大統領発言は内向き、すなわち国民向けのメッセージでしかないところに、韓国という国の浅ましさと悲哀があるのだが、それは余談である。ともかく今日の経産省の措置は、さすが日本のお役人は優秀で、「ホワイト国からの除外」という、それほど実害はないが(手続きが多少煩雑になるにしても)象徴的意味合いの点でインパクトがあり、さらに当初の三品目のように包括許可が使えなくなる範囲を広げるといった発展可能な仕掛けも仕込んでいるという。ところが韓国は、当初から国際的な自由貿易からの逸脱だのWTO違反だのと全く筋違いの最大級の非難を注いできたものだから、実はそこまで騒ぐほど大したことではないのが事実だと判明しても、もはや引っ込みがつかなくなったのではないか、という。何ともお粗末な話だ。
 朴クネさんの告げ口外交は有名で、欧米のその筋ではどう受け止められていたか、単に信頼性を失っただけで、アメリカでは巷間Korea Fatigue(韓国疲れ)などと陰口を叩かれたものだった。今回の輸出管理を巡るWTO提訴も、その場で反応がなかったのを、韓国は「異議なし」と自己正当化するコメントを発出したが、ロイター通信は端的に「却下」と伝えた。なんというギャップであろう。韓国にとっては“恥晒し”でしかない。ことほど左様に一事が万事とは言わないまでも、どう見ても徴用工問題(あるいは戦時中の韓国人労働者問題)も、慰安婦問題も、レーダー照射問題も、同じように韓国は独善的で、論点をはぐらかし、政治問題化して、日本の譲歩を迫るばかりのように思えてならない。つまり、相変わらずではあるが、韓国では、とりわけ日韓に限れば、まともな外交が成立しているようにはとても見えないのだ。問題は、何故、かくも韓国の外交は、相手が日本となると、まともに成立しないのかということであろう。
(これ以降、書き直しのため、いったん切ります)
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