風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

即位の礼

2019-10-24 00:59:28 | 日々の生活
 中東のアルジャズィーラは「お祝いムードは台風によって和らげられたが、式典が始まった時に空が晴れた」と歓迎し、英BBCは「式典が始まったとたんに激しかった風と雨が止んだ」と伝え、式典直前に虹が架かったというツイッター利用者の投稿写真をBBC電子版に掲載したらしい。雨があがって晴れあがるのが令和の時代を象徴するのだとすれば、まことに喜ばしい。
 昨日の「即位の礼」の報道を見ていて、つくづく日本は不思議な国だと、感慨をあらたにした。欧州では革命や内乱があって、王朝は入れ替わり、欧州を跨いで血が混ざり、恐らくそれが欧州の一体感に(キリスト教文化とともに)繋がっているのだろうと想像されるが、東洋の片隅の、中国大陸から微妙な距離を置く日本列島の、文明は流れ込むけれども乱は滅多に届かないという奇跡的な環境の中で、日本一国だけにひっそりと世界最古の王朝が息づき、今なお平安絵巻が繰り広げられる・・・中国4000年の歴史と言うけれども、王岐山さんはどんな思いでこの儀式を眺めていただろうかと興味深い(笑)
 「即位礼正殿の儀」には、外国から191の国と国際機関などの代表423人、国内から1576人、計1999人が参列したそうだ。「饗宴の儀」は、皇族方の負担軽減や儀式の簡素化のため、平成の時より規模が縮小されたそうだが、古式ゆかしい儀式は、質素な中に威厳があることにこそ日本ならではの価値がある。列席した方々の民族衣装は実にきらびやかで豪華絢爛、中でも今なお連綿と残る王室のネットワークには目を見張る。チャールズ皇太子の肩肘張らないリラックスした中に漂う高貴な佇まいはさすがだ。デンマークのメアリ皇太子妃は実に優雅。白い軍服を身にまとったブルネイのマティーン王子は、ブルネイ王族ながらInstagramで100万人以上のフォロワーを誇るらしいが、さもありなんと思わせる凛々しいお姿。そして日本の皇族方も、雅子さまはすっかり皇后らしい貫録を身につけておられるし、紀子さまと佳子さまは十二単が実に良く似合う。皇室は、間違いなくアニメと並ぶ日本のソフトパワーだ(笑)。
 そんな不思議の国・日本の、世にも珍しい古式にのっとった厳かな儀式が海外でどう報じられたか、興味がある。歴史が浅いアメリカのCNNは30分近くも「即位の礼」を生中継し、「長年にわたり伝統が受け継がれている」と伝えたという。生中継したという点では、お隣の韓国YTNもそうで、天皇陛下が「平和」と「憲法」に言及されたことに触れ、上皇さまのかつてのご発言と「相通ずる」と指摘し、「改憲に力を入れている安倍総理と対照的だ」と報じたらしいが、相変わらず余計なお世話だ。韓国は休戦中とは言えGDPの2.6%もの軍事費を使っているくせに、GDPの0.9%しか使わない日本の「改憲」を軍国主義復活のように警戒するのは、日本の「良識」のメディアと勝手に認定する朝日新聞に感化され過ぎではないか(笑)。中国の国営新華社通信も、「古式ゆかしく高度に儀式化されている」と言及し、ネット上には「伝統を感じる」「5千年の歴史を持つ中国は伝統文化をとうに失ってしまった」と羨む声もみられたそうだが、相変わらず一体いつから5千年の歴史になったのか(笑)。他方、イギリスのリベラルなガーディアン紙は「160億円の税金が投入されることが、政教分離の原則に反するとの批判もある。女性は天皇になれないが、保守的な安倍政権には、これを見直す意欲はほとんどない」などと報じたらしいが、先ほども触れたように、一国で皇室伝統を繋いでいる日本と、血が入り混じって高貴な男性の血も当たり前にある欧州(イギリスも含めて)とでは、王室の継承の在り方が違ってもやむを得ないのではないか。
 天皇・皇后両陛下の経歴も話題のようで、BBCは天皇陛下がオックスフォード大学に留学されたことや、5月のトランプ大統領とメラニア夫人との面会で、雅子さまが流暢な英語を披露したという、毎度のエピソードを紹介したらしいし、中国の国営中央テレビも「第二次世界大戦後に生まれた初めての天皇」「修士の学位を持ち、留学も経験している」と天皇陛下の経歴を紹介したらしい。ロイター通信は「ハーバード大学で教育を受けた皇后」と紹介し、仏ルモンド紙は「悠々として現代的な二人」「いくつもの言葉を話す天皇、皇后両陛下は初めてだ」と驚きをもって迎えたらしい。
 もう一つ、「饗宴の儀」で何が供されたか、余計なお世話だが献立をチェックしてしまった(笑)。国賓をお招きする宮中晩餐会よりも規模がかなり大きい祝宴となるため、コンパクトに提供できる日本料理が選ばれたという。なるほど、日本料理とはそういうものか・・・。「日本の山海の食材を味わってほしい」(宮内庁幹部)という方針で、前菜にはかすご鯛の姿焼きや鮑の塩蒸しや篠鮟肝のほか珍しいところで百合根、酢の物には帆立貝やヒラメやワカサギ、焼き物には日本料理らしくない牛肉アスパラ巻、温物にはフカヒレの茶碗蒸し、揚げ物にはカニやキスやクワイや銀杏、吸物には伊勢エビやマツタケなど、ヨダレが・・・じゃなくて、溜め息が出るような、なるほど簡素ながらもなかなか豪華なものだったようだ。はあ~
コメント
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