台湾の週刊誌(『今周刊』)記事(東洋経済オンラインに転載)によると、中国による台湾産パイナップル輸入停止問題については、中国に対して厳しい目が向けられるだけでなく、蔡英文政権の対外貿易戦略を疑問視する声も上がっているのだそうだ。
記事によると、2016年に総統就任以来、対外経済政策として「新南向政策」を打ち出し、経済面での中国依存度を低下させリスクを(ASEANや東アジアなどへ)分散させると表明したにもかかわらず、実際はいくつかの果物の輸出で中国への依存度は低下するどころか高くなっており、宣伝ばかりで実際の成果は大したことがないとして、農家から落胆の声が上がっているのだそうだ。まあ、普通に考えれば、ASEANよりも総じて所得水準が高い台湾の高品質・高価格なパイナップルなどの農産物がASEANでそう簡単に売れるとは思えない。
それに、経済的に中国に依存させておいて、政治的な問題で気に食わないことがあったら、その圧倒的な経済力をテコに懲らしめるのが、中国の作戦である。以前にも本ブログで触れたが、習近平国家主席が4月10日に党中央財経委員会で行った演説(共産党理論誌「求是」に掲載)によると、「国際的なサプライチェーン(供給網)を我が国に依存させ、供給の断絶によって相手に報復や威嚇できる能力を身につけなければならない」(昨年11月16日付、日経)ということだ。蔡英文総統が「新南向政策」を言い出した途端、言葉巧みに中国依存を強めさせることなど、中国共産党ならやりかねない(笑)。
他人事ではない。既に日本の企業は、最初は世界の工場として、次いで経済成長著しい有望市場としての中国から、恐らく言葉巧みに誘われて、のこのこ進出して、どっぷりと泥沼に足をとられている。挙句の果てに、技術情報を窃取され、真似されて中国での市場を失ったり、国内では中国製造をガッチリ組み込んで価格競争による消耗戦で疲弊し、結果として国民経済はデフレで苦しんだり、はたまた日本の強みだったはずの「ものづくり」が空洞化したり・・・世界第三位の日本経済と言えども、10倍を超える人口大国が隣にあって、その磁場に引き寄せられれば、歪められないはずはないだろうとは、私の被害妄想である(笑)。まあ、me-too製品の「ものづくり」が台湾や韓国や中国に流れるのは世の常で、それに代わる新・産業を興すことが出来なかっただけではないかと言われればそれまでのことで、企業人の一人としては恥じ入るばかり。げに恐ろしきはブラックホールの如く何でもかんでも呑み込んでしまう国家資本主義・中国である。WTO加盟から僅か20年で、これほど巨大化するまで、のさばらせてしまうとは、痛恨の極みながら、後の祭り。果たしてこの巨竜をコントロールできるのだろうか。
記事によると、2016年に総統就任以来、対外経済政策として「新南向政策」を打ち出し、経済面での中国依存度を低下させリスクを(ASEANや東アジアなどへ)分散させると表明したにもかかわらず、実際はいくつかの果物の輸出で中国への依存度は低下するどころか高くなっており、宣伝ばかりで実際の成果は大したことがないとして、農家から落胆の声が上がっているのだそうだ。まあ、普通に考えれば、ASEANよりも総じて所得水準が高い台湾の高品質・高価格なパイナップルなどの農産物がASEANでそう簡単に売れるとは思えない。
それに、経済的に中国に依存させておいて、政治的な問題で気に食わないことがあったら、その圧倒的な経済力をテコに懲らしめるのが、中国の作戦である。以前にも本ブログで触れたが、習近平国家主席が4月10日に党中央財経委員会で行った演説(共産党理論誌「求是」に掲載)によると、「国際的なサプライチェーン(供給網)を我が国に依存させ、供給の断絶によって相手に報復や威嚇できる能力を身につけなければならない」(昨年11月16日付、日経)ということだ。蔡英文総統が「新南向政策」を言い出した途端、言葉巧みに中国依存を強めさせることなど、中国共産党ならやりかねない(笑)。
他人事ではない。既に日本の企業は、最初は世界の工場として、次いで経済成長著しい有望市場としての中国から、恐らく言葉巧みに誘われて、のこのこ進出して、どっぷりと泥沼に足をとられている。挙句の果てに、技術情報を窃取され、真似されて中国での市場を失ったり、国内では中国製造をガッチリ組み込んで価格競争による消耗戦で疲弊し、結果として国民経済はデフレで苦しんだり、はたまた日本の強みだったはずの「ものづくり」が空洞化したり・・・世界第三位の日本経済と言えども、10倍を超える人口大国が隣にあって、その磁場に引き寄せられれば、歪められないはずはないだろうとは、私の被害妄想である(笑)。まあ、me-too製品の「ものづくり」が台湾や韓国や中国に流れるのは世の常で、それに代わる新・産業を興すことが出来なかっただけではないかと言われればそれまでのことで、企業人の一人としては恥じ入るばかり。げに恐ろしきはブラックホールの如く何でもかんでも呑み込んでしまう国家資本主義・中国である。WTO加盟から僅か20年で、これほど巨大化するまで、のさばらせてしまうとは、痛恨の極みながら、後の祭り。果たしてこの巨竜をコントロールできるのだろうか。