風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

大統領と年齢

2024-07-19 00:44:51 | 時事放談

 本来、年齢による衰えは(ある年齢を超えると)人それぞれなのだから、若くても意志と能力さえあれば抜擢されるべきという議論があるならば、年寄りだから若者に譲るべきという議論はナンセンスだ。アメリカ大統領選での問題は、先般のTV討論会で見せた、そしてまたこれまでにも垣間見させた老いによる現実的な「衰え(健康不安)」にある。

 それでもなお(しつこく)年齢に着目すると、バイデン氏は1942年11月20日生まれの81歳、トランプ氏は1946年1月14日生まれの78歳、このままでは二人とも史上最高齢の大統領候補者になる(バイデン氏が民主党大会で順調に指名されれば)。これでは四つ足して任期を全うする年齢まで数えると不安になる。

 Potus.comによれば、アメリカ大統領は平均すると55歳で就任して来たそうだ。かつて最高齢は、69歳で就任したロナルド・レーガンだったが、トランプ氏が70歳、バイデン氏が78歳と、次々に更新した。逆に若い方を見ると、テディ・ルーズベルトが史上最年少の42歳で就任し、次いでJFK43歳、ビル・クリントン氏46歳と続く。そのビル・クリントン氏(1946年8月19日生まれの77歳)が選出されたのは30年以上も前のことなのに、彼よりも年上の二人が今なお大統領の座を巡って争っているというのは、清少納言が今を生きていたら「いと浅まし」と嘆きそうな悲劇であり、喜劇だ。

 こうして、大統領に不測の事態が発生して副大統領が大統領に昇格する可能性はこれまでになく高いと言われ、副大統領が誰なのかが注目される仕儀となる。

 西山隆行氏(成蹊大学教授)によれば、米国の副大統領に関して、憲法制定者は必ずしも大きな関心を持っていなかったという。「アレグザンダー・ハミルトンは『フェデラリスト』の第68篇で副大統領についても言及しているが、その職の基本的な役割について説明していない。初代の副大統領となったジョン・アダムズは、その職を『人類が発明した最も重要性に乏しい公職』だと評したことは知られているかもしれない」(同氏)。そして驚くことに、副大統領に欠員が生じた場合の補充方法についての規定が定められたのは、ようやく1967年の合衆国憲法修正第25条においてだったということだ。

 その副大統領候補となりそうな民主党側のカマラ・ハリス氏はマネジメントに問題があると言われ、実際に今一つも二つも冴えないし、共和党側のトランプ氏が選んだジェームズ・デービッド・バンス氏(39歳)は若くて未知数、輪をかけたトランプ主義者で、結局、大統領候補のお二人に頑張って貰わなければならないと思う気持ちになる。

 しかし繰り返すが、年齢による衰えは人それぞれだから、年齢による決め付けは余計なお世話なのだろう。

 一方の、暗殺未遂事件で見せつけたトランプ氏の危機における超人的なタフさ(気力・胆力など)は、大統領時代に多少の訓練を受けていたであろうことが想像されるとは言え、彼自身のキャラと相俟って、演技がかって、やや無謀とすら思わせるが、特筆されるべきであり、世界最強の米軍・指揮官としての要件の一つを満たすと人々をして思わせるものがあった。しかし、そこに神が介在していたなどと、神がかりなことを言ったところで、トランプ支持者にしか受けないだろう。なお、1992年3月、右翼団体の構成員から銃撃を受けた金丸信氏(当時自民党副総裁、77歳)は、弾が逸れて無傷だったものの、その場で腰を抜かして自らの力では立ち上がれなかったそうだ。自分だったら、腰を抜かしてしょん●んをちびって立ち上がれなかっただろうと白状した人もいたが、ムベなるかな。

 他方、民主党ではバイデン降ろしが本格化しつつあるが、代わりが思い浮かぶわけではないのが悩ましい。まさに健康不安を払拭し、年齢を感じさせないタフさ加減を見せつけるべき正念場であろう(が、今更もう手遅れなのかもしれない、少なくともメディア報道によれば)。

 大統領選は相変わらず混沌としている。暗殺未遂事件は、アメリカ社会の分断を深めるばかりとなった。犯人が共和党員だったことで、辛うじて深刻な事態は避けることが出来たのかもしれない。

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