風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

同時多発デモ

2010-10-20 02:37:56 | 時事放談
 16日から18日にかけて中国各地で反日デモが発生しています。映像を見ていると、デモを主導する過激な学生と思しき人たちは極一部で、それを取り巻いているのはどうやら多くの野次馬のようです。2005年の時もそうだったように、そもそも中国ではデモや集会は事前申請による許可制により、人権問題や民主化要求といった当局が警戒する内容のものは事実上実施し得ないため、官製デモと揶揄されますし、愛国青年たちは当局の操り人形だといった冷ややかな見方もなされます。
 実際、今回も、貧富の格差拡大、住宅価格高騰、土地・建物の強制収用、就職難、官僚の汚職といった、中国の民衆の憤懣やるかたないと漏れ伝えられる社会問題には一切触れられていませんし、封印したはずの天安門事件の記憶を突付かれて政府も迷惑がっている、服役中の民主活動家・劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に関するもの、とりわけ同氏の釈放を求めるデモも許されるはずはなく、唯一許されるのは、トヨタの車に乗ってソニーの携帯を持ちキヤノンのカメラを肩からぶら下げながら反日デモに行くことだ、などと皮肉られる始末です。こうして、尖閣諸島問題を契機として日本をスケープゴートにして、民衆のガス抜きをしている・・・といった構図が見えて来ます。中国・外務省の報道局長談話では「法に基づき、理性的に愛国の熱情を表現すべきであり、非理性的、違法な行為には賛成しない」と、暴力的な行為を非難しつつ、一方で「一部の群衆が日本の誤った言動に対して義憤を表明することは理解できる」とわざわざ述べているのは、そんな馴れ合いの構造を垣間見させます。
 因みに先日ブログでも紹介した韓寒氏は「内政の問題ではデモのできない民族が、外国に抗議するデモをしても意味はない。単なるマスゲームだ」とブログで批判し、当局によって即日削除されたようです。
 そんな中、成都のデモでは「収回琉球、解放沖縄」(琉球を取り戻し、沖縄を解放しよう)といったスローガンが登場しました。沖縄はもともと日本の領土ではない、かつて中国・明の時代に朝貢国だった琉球を独立させ、沖縄本島を支配下に組み入れよう、尖閣の主権を争うなら、沖縄の帰属問題も議論すべきだ、というものだそうです。発端は、菅首相の「沖縄は独立すればいい」発言(菅首相は、副首相兼国家戦略担当相だった昨年9月、民主党の喜納昌吉前衆院議員から米軍普天間飛行場の移設問題を問われて、「基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放った)で、この6月に明らかになって以降、中国のサイトには「菅氏もいいことを言う」といった称賛の声が寄せられているそうです。弱腰ならぬ柳腰外交のみならず、中国に付け込まれるスキを与える妄言まで吐いていたとは。政治家たるもの、見識は常日頃からしっかり磨いておかなければなりませんね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 運動会ふたたび | トップ | チャイナ・リスク »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

時事放談」カテゴリの最新記事