まさか
彼(彼女)が
海峡を疾翔する姿を
この眼で確かめられるとは…
蝶類との交流冥利に尽きる。
その日はよい天気ではあったが
そこそこに風強く波荒く
連絡船は豪快に飛沫をあげ
波を突っ切って走っていた。
乗客は大橋を臨む美しい景色と
スリルに歓声を上げ
誰もがハイテンションだった。
そんなとき
(自分以外の誰も見ることは出来なかったが)
彼(彼女)が海上を一直線に翔んで来た。
確かに一瞬のストップモーションの
美しい容姿を見逃しはしなかった。
間違いなく
見慣れた(見間違うはずのない)
アオスジアゲハである。
風に煽られたのか
まさか認知させてくれるために速度を落としたのか
それはほんの一瞬だった。
それからすぐに疾翔モードとなり
小さな影となって遠ざかって行った。
ますます蝶類に魅せられる
今日この頃である。