中国GDP 世界経済に責任がある
2008年1月25日
東京新聞の社説。
このタイトルでは、世界経済「が」中国のGDP「に」責任がある、と
解釈されるのが一般的ではないだろうか。
少なくとも私はそう思ってしまった。
内容はもちろん逆で、中国「は」世界経済「に」責任がある、と。
GDPの成長と連動しているインフレを中国政府がどうにかしなければ、
労働者の実賃金は上がらず、内需は拡大せず、輸出ばかりの国になって
貿易摩擦を拡大させる。
じゃあどうすればよいか、それは農業対策で、
むやみな都市労働者化を、有効な農業対策、農業者所得の向上へと向かわせ、
穀物生産量を上げる。穀物、その他食料の生産量増は
世界の食糧市場に影響して食糧価格の沈静化、すなわち物価抑制に効く。
最近、社説を読んでいて思う。
こりゃなんのためにあるんだろう、と。
地方紙なら地方紙らしく、ピンポイントなトピックに対し
ビジョンと具体的な方策を述べたらいいと思う。
別に中国政府に政策を訴えるようなこと書かなくても。
そういうことは、たとえば特集の連載でやってるんだし。
わかりやすく書いたら簡単なコトばかりの内容で、
自然と漠然となってしまっている。
隣の読者投稿欄のほうがよっぽどビジョンと具体策の話を書いている
気がするのは私だけだろうか。
・・・
中国GDP 世界経済に責任がある
2008年1月25日
中国は昨年、五年連続で二けたの経済成長を達成しドイツに匹敵する経済大国になった。輸出と投資が主導する多資源消費の産業構造を変え、世界経済と環境に責任を果たすことが迫られている。
中国国家統計局が二十四日発表した二〇〇七年の国内総生産(GDP)実質成長率は前年に比べ11・4%増加した。伸び率は前年を上回り、五年連続で二けた成長を記録した。経済規模は米国、日本に次ぐ第三位のドイツに接近し、今年中には中国がドイツを追い抜く可能性もある。
成長を主導したのは固定資産投資と輸出で、北京五輪を控え不動産投資は前年に比べ三割の伸びを見せた。貿易黒字は五割近くも増加し、世界一となった外貨準備も四割以上増えて一兆五千三百万ドルに達した。
不安材料は消費者物価の上昇だ。消費者物価指数は通年で4・8%上昇し、前年の1・5%を大幅に上回った。昨年一月は2%台だった上昇率は年が押し迫るごとに上昇し7%近くに達した。値上がりは豚肉や食用油、牛乳といった食料品が中心で中低所得者の台所を直撃している。
原因は小麦やトウモロコシなど国際的な穀物価格の上昇だ。中国も価格高騰の原因をつくり出している。中国では工業化が進み耕地が転用され離農して都市に職を求める農民が増え、品目によって供給不足が表面化した。不足農産物は輸入に頼ることになるが、大国中国が輸入を増やせば、すぐに国際価格に跳ね返る。
このように、世界でも有数の経済大国になった中国が、二けた台の成長を続けていることは世界の経済と環境に与える影響が大きい。
中国の貿易黒字は大半が米国との貿易で生み出され、摩擦は激化する一方だ。膨大な外貨準備を基に世界で運用されるようになった中国マネーの動向に金融界の注目が集まる。
しかし、信用力の低い人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による米国経済の後退が中国の輸出や株式市場を動揺させたように、貿易と投資に頼る発展はリスクが伴う。
中国が人民元の上昇を容認し、インフレ抑制に努め、労働者の実質賃金を上昇させれば内需の喚起や貿易摩擦の緩和になる。また、農業対策に力を入れ、人口の過半を占める農民の所得を向上させれば、内需拡大だけでなく世界の食料事情の緩和につながる。
半面、中国が発展途上国の権利を振り回し、温暖化ガスの削減義務を負わなければ温暖化対策は成り立つはずもない。中国の経済政策は世界の安定を左右する。責任が一層重くなったことを自覚してほしい。