亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

にわかに注目度が上がった5月9日の米中通商交渉

2019年05月09日 20時58分35秒 | トピック
米通商代表部(USTR)は中国からの輸入品2000憶ドル相当に課している追加関税を10日午前0時1分(日本時間10日午後1時1分)に10%から25%に引き上げると官報で正式に通知。フロリダでの支持者集会でトランプ大統領は、「中国に対する関税引き上げを発表したところだ。中国が米国の労働者をだまし雇用を奪うことをやめるまで、われわれは引き下がるつもりはない」と演説(ロイター)。選挙キャンペーンの一環でやっているゆえに、“中国が米国の労働者をだまし雇用を奪うことをやめるまで”などという表現になる。そのうえで“われわれは引き下がるつもりはない”となるので、コアの支持層はやんやの喝さいということに。2020年米大統領選は、共和党サイドは、すでにヒートアップ。

日本時間の明日の午後一には、中国製家具や家電など約6000品目を対象にした追加関税が上がることになりそうだ。中国商務省は「対抗措置を講じざるを得ない」とした。

興味深いのは、8日の午前にトランプ大統領が「中国は合意するために訪米する」とツイート、同じ時間にホワイトハウス、サンダース大統領報道官がロイターなど一部メディアに「中国から合意を成立させたいとの前向きな示唆があった」と発表、中国側が報復措置の可能性を示したのはその後だったこと。ホワイトハウスが何を根拠に楽観的見通しを流すのか不明だが、双方の温度差を感じさせるもの。中国側は、ワシントンでの協議に送る代表団の規模を縮小したとの情報もある。

ロイターが報じるところでは、「中国政府は米中貿易交渉の合意文書案の全7章に修正を加え、今月3日までに米国側に提示。合意文書案は150ページ近くに及ぶが、中国政府が加えた修正はこれまでの交渉を白紙に戻すような内容だったという。さらに中国は知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作の各分野で問題解決に向け法律改正を行うとの約束もほごにしたとみられる」としている。

この件では、中国側代表者の劉鶴副首相が示した対米譲歩的な合意内容について、土壇場で習近平主席が却下したとの情報もある。トランプ大統領が来年の大統領選に向けて共和党右派など国内政治バランスに目を向けざるを得なくなっているのと同じで、習近平主席も国内政治勢力との兼ね合いで弱腰の姿勢は見せられないということだろう。いずれにしても“話し合いによりまとまった”合意事項の文書化をめぐる駆け引きが、結局、両サイドの溝の深さを浮き彫りにしたということになる。

さて市場の、そして歴史の節目になる可能性のある政治イベントは、どうなるか。中国が折れればポジティブ・サプライズということになる。大統領執務室に劉鶴副首相を呼び入れ、デスクの前に座らせるという、パフォーマンスがまた繰り広げられそうだ。

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