週末に中国人民銀行が金準備を7月に19トン増やしていたことを取り上げた。IMFの合成通貨「SDR」の構成通貨入りを狙う中国の思惑と金との関係は、比較的わかりやすい。人民元への信認の上昇を狙ったものとすると、たしかに言えそうだ。しかし、金融緩和策や為替の安値誘導となると、景気刺激策が主目的なのか、SDR問題がメインなのかはにわかには判然としない。
しかし、ここまでの経緯からは、(おそらく)想定外の落ち込みを見せる景気への配慮が主目的のように見える。それを人民元改革を中心に大きくは金融改革(自由化)を進める上でも同じ手順を踏むことから、中国政府にとっては好都合ということだろう。
問題は、今回の為替調整のように徐々に実勢レートに近づけようという試みが、予想以上に景気減速が進んでいるようだと、ピッチを上げざるを得なくなることだろう。刺激策にこそ切迫感があり、制度改革は実は2の次ということになると、いよいよ管理通貨制度の名の下でここまでドルに追随してきた人民元が、その水準の維持に音を上げたというのが、今回の切り下げということになる。