週明け4月17日のNY金は続落となった。昨日はここで「引いては寄せる波のように」と表現したが、週明けには発表された指標は、いずれも米国経済の底堅さを示す内容となり、米景気悪化への過度な懸念が和らいだ。
4月第1週は労働市場の減速を示唆するデータが続き、先週は総じてインフレは鈍化しているものの、人件費や家賃に関連する指標の鈍化は見られず強弱混在していることが示された。米国経済は冷え始めているものの、触る場所によってはいまだ過熱しているところや、逆に冷えているところもあり、視点により判断は分かれる。
17日は、歴史的な金融引き締め策の中でも予想外に力強さを見せる指標に、連邦準備理事会(FRB)によるインフレ対応の利上げが正当化される見方が復活し、米長期金利が上昇。連動するようにドルが上昇し、前週末には一時1年ぶりの安値水準まで下げていたドル指数(DXY)が続伸し、NY時間に金は売られた。NYコメックスの通常取引は、前週末比8.80ドル安の2007.00ドルで終了した。
NY連銀が朝方発表した4月の製造業景況指数は、総合で10.8と、前月(マイナス24.6)から大幅に上昇した。市場予想はマイナス18.0(ロイター)だったので、予想外の上昇ということに。この指標は、ゼロを境に拡大と後退となるが、拡大圏に浮上するのは5カ月ぶりのこと。需要を示す指数が大きく改善し、新規受注と出荷が急回復した。新規受注の指数は過去最大の46.8ポイント上昇となり、25.1と1年ぶり高水準。出荷の指数も37ポイント余り伸びた。一方、仕入れ価格指数は約9ポイント低下し、投入コストのインフレ緩和が示唆された。販売価格の指数は小幅に上昇した。ただし、雇用者数の指数は雇用者数が3カ月連続で減少したことを示唆した。
17日のNY金は、NY時間外のロンドンの午前、NYの早朝まではプラス圏の2020ドル台での推移となっていた。通常取引開始直後に発表されたNY連銀製造業景況指数の予想外の結果を受け売りが膨らみ、そのまま水準を切り下げ2000ドル割れに。NY時間11時前には一時1993.40ドルまで付け、これが安値となった。売り一巡後は2000ドルに復帰し、終盤は2010ドル手前で横ばい推移しそのまま終了した。
やはり押し目は買われることになった。 ただし、上値追いの手掛かり材料不足につき、2000ドルを挟んだレンジ相場で、この水準を維持できるか否かが注目材料となっている。
今週は連日、FRB高官の発言が予定されているが、17日はリッチモンド連銀バーキン総裁がパネル討論に登壇。インフレ率が金融当局の目標である2%まで鈍化することを示すさらなる証拠が必要との見解を示した。ここまで急激に引き上げられた金利水準が米経済を傷めるのではとの質問に対し、現在の水準は歴史的にみて異例ではないとして、「米経済は現行の金利水準で問題なく機能する」と答えている。