亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「市場に促されて刷るか・・・・結局、中銀頼み」

2012年06月05日 23時34分58秒 | 金市場
俄かに沸き起こったEU域内の銀行監督の一元化構想。ギリシャやスペインなどで起き、イタリアなどにもじわりと広がる様相を見せた静かな取り付け騒ぎにさすがに危機感を抱いた結果ということだろう。5月6日の選挙後にユーロ圏離脱観測が公言され始めたギリシャでは、以前から頻発していた給料の遅配や支払いの遅れが常態化しているというレポートをウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が流していた。

「代金支払いを受けていないため自分も借金を支払わない企業や機関が急増」し「企業は互いに支払いを行っていない。そして政府は仕入れ先に支払っていないし、納税者へ税還付もしていない」のだと。ここまでの状況は、一般には伝えられていなかったように思う。金融機能がマヒ状態にあることは、直接的なカネ巡りをECBまで一時的に見合わせたほどだったので予想はついたが、これでは経済が回っていないことになる。皆が現金(ユーロ)を手元に置きたがり、支払いを伸ばすのだと。借金がドラクマ建てに変わるとユーロを保有していると、その分借金は軽くなるというわけだ。

いずれにしてもスペイン、バンキアの預金引き出し急増などパニックの予兆らしきものが起きているだけに、当局も危機感を強めているということだろう。それでも市場に背中を押されてという状況。ここにきて、なし崩し的に“緊縮のみならず成長”もという流れもできつつある。しかし、各国の金庫はカラ。結局、ECB頼みという方向。

市場経済の必要条件として、リスク・テイカー(あるいは資金の出し手)が必要だが、カネにカネを生ませるための過剰リスク・テイクの挙句に誰もリスクを取れなくなって政府が取った。その政府もこれ以上リスクを取れないくらい追い込まれ・・・・・というか、政府の手におえないほど問題が大きいことが判明し、さて困った管理通貨制度の主(中央銀行)が登場したが、それでも目立った効果が表れない中で、周りは中央銀行にさらに前に出るように促すという構図。しかし、主要国では企業はしこたまキャッシュを抱えている。カネがないからリスクを取れないわけでなく、見通しが立たないことが阻害要因という側面も。心理戦に突入して久しいが、安心させる手立てが組めない状態が続く。

さて週明け4日にNYコメックスの先週末の出来高、取り組みの増減が判明したが、ショート・カバーの上昇に違いはないのだが、新規のロングも交じっている様子がうかがえる。こちらも心理戦。

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