亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

注目イベントの多い今週

2018年09月11日 23時22分23秒 | 金融市場の話題
先週末に発表された米雇用統計。このところ雇用者数の伸びや失業率よりも時間当たり平均賃金の伸びが注目点となっている。失業率の低下が、そのままインフレ率の上昇につながるという伝統的な関係(フィリップス曲線、失業率とインフレ率の逆相関性)は、過去10年近くにわたり崩れており、ネックになっているのが賃金上昇の鈍さだった。

8月は前年比で2.9%の上昇と、2009年6月以来の高い伸びとなったことで、加速のイメージが強まることになった。今月0.25%の利上げは間違いないし、上げない方がサプライズとなる状況だ。8月24日のワイオミング州ジャクソンホールの会合にてパウエルFRB議長は、「物価が過熱する明確な兆候はない」と発言し注目されていた。今回の2.9%の上昇という単月のデータにて議長の見方が変わるとは思えないが、8月末に発表された7月の個人消費支出(PCE)物価指数が、前年同月比2.3%上昇と、6年4ヵ月ぶりの高い伸びとなったこともあり、今週予定されているFRB関係者による複数の講演は、結果を受けてどんな内容になるか、興味深い。

ちなみに、賃金上昇の加速を受け、債券市場では売りが出て、10年債利回りは2.9%台に上昇。このまま3%に向けて上昇するのか否かが、注目される。雇用統計での賃金上昇の結果、12日発表の(表紙の色から)ベージュブック(地区連銀経済報告書)での各地区の賃金データへの関心が高まりそうだ。ベージュブックは26日に声明文が発表されるFOMCでの議論の基礎データとなる。

今週は13日にイングランド銀行(BOE)が金融政策委員会を、欧州中銀(ECB)が理事会を開く予定で、両行とも政策金利の据え置きが予想されている。それよりも同じ日に開かれるトルコ中央銀行の政策決定会合が、5%程度の利上げを決めるか否かが市場の関心事となっている。8月のインフレ率が17%台まで上がり、通貨防衛上も利上げが求められるが、同国のエルドアン大統領が景気重視の観点から以前から利上げに反対を唱えており、トルコ中銀は独立性という信認を問われる状況に置かれている。利上げ見送りとなった場合、トルコリラが再び急落に見舞われるとの見方が多い。仮に、そうなるとユーロが連れ安となり金の売り圧力が高まる可能性がある。

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