亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ロングもショートも減っていた金市場

2016年11月21日 22時49分44秒 | 金市場
米大統領選の投票日から先週末まで9営業日の中で、NY金は8営業日下げに見舞われた。この間、米長期金利(10年国債利回り)の上昇は止まらず、ついに18日は2.335%と投票日前週末11月4日の1.776%からは、57.9ベーシスポイント(0.579%)となった。10年国債の価格は、急落していることになる。この急騰は、世界的に同時株安を招いた2015年5月のバーナンキ・ショック時を上回るもので、2010年12月以来6年ぶりの急騰劇。米国と他の主要国また新興国との金利差は一気に広がり、ドル高に反映されることになったが、異例のピッチの速さに当初は下げ渋っていた金市場もさすがに我慢も限界という感じで水準を切り下げた。

この金利上昇の中で、ドル・インデックス(DXY)は、18日、101.48の高値を記録し101.30で終了。引き続き2003年4月以来の高値水準だが、ちなみにその当時、NY市場の金は330ドル程度で推移していた。見方を変えるならば、“このドル高の中で金は1200ドルを維持している”との表現もできよう。しかし、この13年余りの間に、金融市場が肥大化し金市場への資金流入が増えたことが水準訂正につながっているという解釈もできる。さらにインド、中国という金選好度の高い人口大国の経済発展も金の水準訂正につながっている。

この金利急騰を映したドル高の環境をファンドはどう捉えているのか、その実態が見えたのが週末発表のCFTC(米商品先物取引委員会)のデータだった。11月15日時点のデータとなるが、ファンドのネットの買い越し量は、前週比重量換算にして123トン減少し、552トンとなっていた(オプション取引を除く)。

注目すべきは、取組が減少する中で、買い建て(ロング)、売り建て(ショート)の双方が減っているということ。市場全般の混乱の中で、取りあえず手仕舞い(取引から退場)を進めており、その売りが下げにつながっているが、さらなる先安を見込みショートを増やしているわけではないことが判明ということを表している。一方で、市場のエネルギーも減衰という感じだ。



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