14日のNY金は反発した。引き続き米長期金利が1年2カ月ぶりの高水準に滞留する中で上値を抑えられながら、この日はドルが主要通貨に対しやや軟化し、NY金は反発した。
発表された12月の米生産者物価指数(PPI)が前年比で小幅に加速したことで、いったんは売り優勢に転じたものの、前月比では鈍化が認められたことから売り一巡後に買い戻された。通常取引は前日比3.70ドル高の2682.30ドルで終了した。
市場の目が15日発表予定の12月の米消費者物価指数(CPI)に注がれる中で、14日の12月米PPIは前年比3.3%上昇と伸びは前月の3.0%から加速し、上昇率は2023年2月以来最大となった。一方、前月比では0.2%上昇と、市場予想(0.3%上昇)を下回るとともに伸びは前月の0.4%から鈍化した。
どちらの項目に注目するかで反応もまちまちとなった。
市場の関心を集める米10年債利回りは、NY時間外に一時4.817%と1年2カ月ぶりの高値をさらに更新。終値ベースでも4.793%と水準を切り上げた。前日に22年11月以来の高値を更新したドル指数(DXY)は、やや軟化したものの高値を維持した状態にある。
トランプ関税については、14日次期政権経済チームが段階的な関税引き上げを検討しているとする新たな報道が流れ注目された。その一方で、トランプ次期米大統領は自身のSNSプラットフォームにて、外国からの輸入品に課す関税を徴収する「外国歳入庁」の創設を表明した。「米国との貿易で不当に利益を得ている者たちに課税を開始することで、彼らはようやく公平な負担を支払うことになる。2025年1月20日が外国歳入庁の創設日だ」と書き込んだ。
これからこうした書き込みは、時に市場を動揺させることになるのだろう。
なお、この日の午後に米財務省が発表した24年12月の米財政収支は870億ドルの赤字だった。給付金の支払い時期のずれにより、2023年12月の1290億ドルの赤字から大幅に縮小した。ただし、2025会計年度(10月1日から)の累計(10〜12月期)では、赤字は過去最高の7110億ドルに達した。
前年同期の5100億ドルの赤字から2010億ドル(39%)増加している。
米財赤字は年後半の手掛かり材料と位置付けているが、早くもこうした大きな数字が出始めている。
トランプ次期政権の政策については、米連邦準備理事会(FRB)内でも意見交換が行われているようだ。14日カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、次期政権の政策が米国経済に与える影響について、FRB内で「活発な議論」が行われており、インフレもしくは雇用に関する目標のいずれかが軌道から外れれば対応するとしている。