亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金は自律的反発、レンジ模索の調整入り

2024年11月08日 19時20分10秒 | 金市場

注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を4.50~4.75%と0.25%引き下げを発表した。決定は100%織り込まれていた。

 

午後2時の結果発表を前に、この日の市場は、トランプ前大統領の当選が地滑り的な圧勝といえるものであることが判明する中で、前日に初動段階で一気に進んだ(トランプ候補の公約に基づいた)ドル高、長期金利上昇に自律的な巻き戻しが見られ流れは一服した。前日には1日としては6月以来となる前日比2.8%、73.40ドルの下げに見舞われたNY金も反発した。

7日のNY金はNY時間外のアジア時間午前にややまとまった売りに一時2650.30ドルまで付け、結局これがこの日の安値となった。その後、アジア午後、ロンドン早朝にかけて2660ドル台、2670ドル台と徐々に水準を切り上げながら相場は進行。NY早朝には2680ドル台に乗せ、通常取引に入った後もゆっくり水準を切り上げ、NY時間午前中ごろに2700ドル台に乗せた。その後は終盤にかけて2700ドルをやや上回る水準を横ばいで推移し、そのまま終了した。終値は前日比29.50ドル高の2705.80ドルとなった。

前日の大幅安に対する自律的反発という印象で、この日反落したドル指数や米10年債利回りも同じく前日の急激な値動きに対する修正ということに。NY金はレンジ模索の調整入り。

 

前日のNY金の下げについて、先物市場で買い持ち高(ロング)を4年ぶりの水準まで膨らませていたファンドの売りと昨日ここで指摘した。本日明らかになった7日のNYコメックス12月物の出来高は36万1313枚(1枚=100トロイオンス)と、やはり急増していた。重量換算で1124トンにもなる。規模としては8月5日以来の規模で、当時は前週末に7月米雇用統計が予想比下振れし、世界的に株安が連鎖し日経平均もこの日1日で4000円超値下がりした。その際に最高値の更新を続けていたNY金は、利益ねん出の対象となり売りが膨らんだ経緯がある。

 

連続利下げを決めたFOMC後の記者会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、「経済は強い」と楽観的な見方を示しつつも、政策金利を「より中立的な水準に戻す過程にある」と述べた。中立的水準とは、2.9~3.0%程度を指している。金融政策は「依然として抑制的だ」としたのは、この水準を大きく上回っていることを指したと思われる。利下げペースについてはデータを注視しながら慎重に判断する姿勢を示した。 米大統領選挙の結果を巡っては「短期的には金融政策に影響はない」と述べた。当選を決めたトランプ前大統領から辞任を求められても拒否するとし、議長を含むFRB高官の解任や降格は「法律上、認められていない」と言明した。ただし、今回の議会選挙にて上下両院が共和党ということになると、その法律(連邦準備法)とて改正に道が開くことになる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NY金大幅安、「先高観のひび... | トップ | NY金、当面の買い要因になら... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事