週明け11月25日のNY金は大幅反落に。下げは6営業日ぶり。前週の週足5.5%、1年8カ月ぶりの大幅上昇と一変。
ウクライナ情勢に対する過度な警戒感の後退とともに、中東情勢の緊張緩和が売り要因に。
スラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラの停戦が近いとの報道に反応した。後にイスラエル政府は、26日に閣議を開いてヒズボラとの停戦案を承認する見通しとされた。 結局、NY金は前週末比93.70ドル安の2618.50ドルで終了。
1日の下げ率3.16%は、手元の資料では6月7日の2.75%を上回り、21年6月17日の4.65%以来の大きさとなった。今週は28日がサンクスギビングの祭日で休暇を取っている関係者も多く、参加者が少なく値動きが大きくなった印象だが、今夜発表のデータが見もの。
市場では、先週末にトランプ次期米大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏への期待が手掛かり要因となったとの指摘がある。
マクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループを率いるウォール街に軸足を置く人物。貿易制限の実施について漸進的なアプローチを呼び掛けており、関税の正確な規模について交渉することにオープンな姿勢だとされている。 減税の公約を果たすことが優先課題とする一方で、歳出削減、「世界の準備通貨としてのドルのステータス維持(米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビュー)」を掲げている。 とかくインフレにつながるとの見方が多いトランプ公約を進める上でウォール街の意向を考慮するとの期待が広がっている。
ダウ30種平均は前週末に続き過去最高値を更新し、米国内の中小型株で構成される株式指数ラッセル2000は、3年ぶりに取引時間中の高値を更新するなど、株式市場はリスクオンに傾いた。一方で、NY金には売りが出やすい環境と言える。
これらはあくまで市場に期待であって、当の次期大統領は早速SSNで中国への10%の追加関税やカナダ、メキシコ製品に25%の関税賦課の方針を公言しており、新財務長官がどこまでコントロールできるか不明。
いずれにしても地政学リスクの低下でファンドの投げが続いたが、本日以降の金市場は、金融経済環境の見通しに沿った動きに戻ることになりそうだ。落ち着いた後に2600ドルを挟み上下50ドル、拡大すれば80ドル程度のレンジ相場に移行するのではと見ているが、果たしてどうか。
今週注目されるものに27日(水)の米10月個人消費支出(PCE)統計がある。
その中で基調的なインフレを判断する上で指標となるPCEコア価格指数(デフレーター)に注目が集まる。先行して発表された10月生産者物価指数(PPI)などから根強いインフレ圧力を示すと見込まれている。そうなれば12月FOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ見送り観測を強める可能性がありNY金の売り要因となりそうだ。
FRB(連邦準備理事会)の政策見通しという点では、本日26日(火)発表の11月開催分のFOMC議事要旨にも注目が集まっている。
現時点で市場が読む12月の0.25%利下げ確率は50%程度まで下がっている。