亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

フレッシュ・ショートが作る、売られ過ぎ状態

2012年05月14日 19時27分39秒 | 金市場
一気に政局が流動化したギリシャだが、獲得議席の上位から3党まで順に、連立政権樹立を試みたものの、いずれも形にならず本日14日に大統領による挙国一致内閣成立への最後の説得がなされるとのこと。不調に終わる可能性が高く、その場合6月10日あるいは17日に再選挙が行われる予定とされる。それでも決定的な結果が出ない場合は、一度は回避された無秩序なデフォルト(債務不履行)への懸念が高まり、ギリシャのユーロ離脱の見通しを後押しすることになる。スペインでは不良債権の拡大から、大手銀行への一行バンキアに対する政府支援策が報じられ同国の先行きに対し市場の警戒感を高めたが、ギリシャ問題と共鳴するかたちでリスク意識のレベルを更に高めることとなった。後追いでJPモルガンの損失問題が乗ったことも、またしかり。

先週はNYコメックスの金にフレッシュ・ショート(新規売り)が目立ったが、恐らくそうした事態を織り込みに掛った結果だろう。ファンドは買い手仕舞いからさらに一歩前に出る形でショート転じている。週末に発表されたCFTC(米商品先物取引委員会・・・SEC・米証券取引委員会の商品版組織)のデータでは、ネットの買い建ては前週から53トン減って383トンとなった。変動の大きかったのは、このこと自体は、将来の「買い」予約が貯まっていることを意味するが、足元では買い引き合いの薄い中で一定のモメンタム(流れ、勢い)ができており、いわゆる回転が利いている状況となってきた。テクニカルの悪化が、セル・プログラムをさらにヒットさせている状況ゆえに、ストレッチ(stretch)すなわち売られ過ぎ状態が発生する環境となっている。もちろん金だけが売られているわけではないが・・・・。

今週は、4月のFOMC議事録要旨の公開など注目材料が控えるが、金市場の内部材料でもヘッジ・ファンドの金EFT持ち分の変動の有無が現地15日に明らかになる。SEC登録ファンド(1億㌦以上)の運用資産開示情報(通称13F)だが、前回12月末時点でジョン・ポールソンのファンドは9.3トン減っていた。今回は、どうなったか。ちなみに金ETF全体の残高は、昨年末に比べ3月末は56.9トン増加している。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 民主主義のリスク | トップ | LTROの副作用 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きびしす (ナニユエ)
2012-05-14 23:38:39
なかなか きびしい状況が続きます。 根性を出してgold買ってみます。 まだ底が見えませんが まだはもう かも?
返信する
金預かり商 (さとう)
2012-05-17 10:44:24
ETFの証券には、ゴールドのウラ付が確実にあるのでしょうか。なんとなく、
ベネチア時代の金預かり商人が、預かった金以上に、金の預かり証を作って
いるようにも思えてなりません。はたしてETFの証券を、ゴールドの現物に
変えようとしたときに、本当に変更できるのかどうか。ベネチアの金預かり商と
同じ、預かったゴールドの10%しか金庫に無いなんて状態が出てくるような。

疑い出したら。MマテリアルやT貴金属のゴールド積立も、顧客のゴールドが
確実に金庫の保管されているのかと、思うことがあります。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事