亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金2600ドル割れ、25年利下げ回数2回に半減

2024年12月19日 19時37分15秒 | 金市場

注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場の予想通り政策金利を0.25%引き下げ、4.25~4.50%にすることを発表した。同時に公表したFOMCメンバーによる金利・経済見通しの分布図(ドットプロット)中央値の金利水準では、2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減した。

今後の米連邦準備理事会(FRB)による利下げペースが鈍化する可能性は市場に織り込まれていたが、3回の利下げを見込む向きが多かった。その点で2回となったことは、タカ派的との受け止め方が広がったとみられる。

 

パウエル議長はFOMC後の記者会見で、「われわれは良い状況にあるが、ここからは新たな段階で、さらなる利下げには慎重になるだろう」と発言。9月の2倍速、0.50%利下げを皮切りに11月そして今回と連続して0.25%の利下げをしたところで、「新たな段階に入った」との表現で政策的に一区切りつけることを示唆した。

議長は今回の利下げ決定は、「かなり微妙な判断」だったとした。実際にクリーブランド地区連銀のハマック総裁は据え置きが望ましいとして利下げに反対票を投じた。実態は先週末までの議長による説得交渉で複数名が利下げに反対から転じ賛成票を投じたものと思われる。

声明文には「今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」との文言が新しく加えられたことから、1月28~29日の次回FOMCでの利下げ一時停止の布石を打ったとの見方が生まれている。

パウエル議長は11月の講演で、好調に推移する米国経済に自信を示し、それゆえ政策決定に余裕が得られると発言していた。今回のドットプロットでは2026年の利下げも2回となっており、今後2年で4回の利下げが想定されている。

年明け早々にトランプ次期政権がスタートし、インフレ的な公約の実行が予想される中で、緩やかな利下げ見通しは様子見の余裕を執行部に与え、政策転換のしやすさを意味するのかもしれない。しかし、その場合FRBの金利・経済見通しに対する信認の低下という問題も生まれそうだ。

 

FOMCの声明文と経済・金利見通しの発表に続きパウエル議長の記者会見が進む中で、市場は大きく反応することになった。 米長期金利(10年債利回り)は急騰し、一時4.527%まで付け5月30日以来7カ月ぶりの高水準となる4.519%で終了。長期金利の上昇に反応しドル指数(DXY)は一時108.269と22年11月以来2年ぶりの水準に上昇し108.027で終了した。

 

この日、FOMC声明文発表前に前日比8.70ドル安の2653.30ドルで通常取引を終了していたNY金は、その後の時間外取引で売りが膨らんだ。声明文発表前の2650ドル近辺から発表後に下げ足を速め、議長の記者会見中も水準を切り下げながら相場は進行。一時2598.10ドルまで付け、時間外取引は2599.60ドルで終了した。

同様に金利高止まりへの警戒から株式市場の下げも拡大し、ダウ30種平均は前日比1123.03ドル安で終了。下げ幅は2022年9月以来、約2年3カ月ぶりの大きさで10営業日続落となった。10営業日続落は1974年10月(11営業日続落)以来最長とされる。

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2 コメント

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スポット価格の値動き (oyoyo)
2024-12-20 01:18:52
いつもBlogを読ませて頂いております。
標記の件で質問があります。19日の19:45頃、それまで上昇していたスポット価格が急伸して上ヒゲを残し、次の5分足で比較的長い陰線を引きました。価格はその後、明らかに基調が変わり、下落に転じました。19:45~19:50辺りの値動きに、その後の下落の原因があるような気がしますが、その背景などお分かりになりましたら教えて頂きたいと思います。また、日々のスポット価格の値動きを解説するようなサイトなどはあるのでしょうか。
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スポット価格の動き (KAMEI)
2024-12-24 22:55:38
19日は同じ時間のコメックスの値動きでは、3~4ドル上に振れた程度で目立った動きは見られず、むしろ前日18日にコメックスでフラッシュラリーのようなイレギュラーな動きがあったもののその後の価格に変化なく通過。

日々のスポット価格の値動きを解説するようなサイトは知る限りなく、強いて上げるなら和文ではブルームバーグの「米国市況」の中の「金」くらいかと。
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