亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金2700ドル、地政学リスクと中国人民銀の金購入が手掛かり

2024年12月10日 17時49分36秒 | 金市場

週明け12月9日のNY金は続伸した。主要な米経済指標の発表がない中で中東をめぐる地政学リスクを意識した買いに加え、昨日取り上げたように中国人民銀行が7カ月ぶりに金準備を増やしたことが買い手掛かりとされた。NYコメックスの通常取引は前週末比26.20ドル高の2685.80ドルで終了した。

 

前日に伝えられた中東シリアでのアサド政権崩壊のニュースは地域の不安定化につながるとの認識はあるものの、市場はその具体的影響を注視するスタンスで週明け9日のアジア時間の取引は進行した。

日本時間の午前10時を前に、いったん2650ドル割れまで売られた後に騰勢を強め2670ドルを超える動意が見られたが、中国上海市場が開く時間帯で、時折この時間帯に動意づく例が過去にも見られて来たが、おそらく経緯からして中国人民銀行の金準備増加に反応したものと見られる。

ただ買いが一巡すると反落した。その後ロンドンの午前まで静かに水準を切り上げNY早朝には2680ドル台に到達した。 目立った動きが出たのはNYの通常取引に入って直ぐだった。開始とともに買い優勢に転じ騰勢を強めた。そのまま午前の中頃まで水準を切り上げ2700ドルまで買われ、この日の高値となった。2700まで以外に軽かった。この時間帯までにイスラエルが、シリアの化学兵器およびミサイル貯蔵施設を攻撃したことが明らかになった。

アサド政権と戦争状態だったイスラエルは、新たなイスラム勢力の脅威にさらされる前に予防的措置を取ったとしている。さらに米軍が、シリア中部で過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の標的数十カ所を空爆したことも明らかになった。ただし、さすがに高値警戒とともに利益確定売りが出て終盤に向け水準を切り下げることに。それでも2680ドル台を維持して取引は終了した。

 

市場は来週17~18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、明日11日に発表される11月の米消費者物価指数(CPI)が注目されている。

先週複数のFRB高官が、直前までデータ結果を重視する旨の発言をしており、前回10月分が加速した経緯から市場は静かながら警戒モードといえる。市場予想が前年同月比で2.7%の上昇と伸び率が10月(2.6%)より大きいことによる。ちなみに9月は2.4%だった。タカ派で知られるボウマンFRB理事をはじめインフレへの警戒を解いていないFRB高官はなお多い。

 

この日NY連銀が発表した11月の消費者調査では、1年先・3年先・5年先のインフレ期待がいずれも上昇していた。1年先のインフレ率予想は3%。10月時点では2.9%だった。3年先のインフレ率予想は2.6%で、10月の2.5%から上昇。5年先のインフレ率予想も2.9%と、10月の2.8%から上昇した。

FRBは一般のインフレ期待が継続的に上昇することを警戒している

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