昨日の米11月のISM製造業景況指数は今回48.6に大きく下落。50を割り込んだのは2012年11月以来のこと。48.6という水準は、リーマンショック後の景気後退の谷となった2009年6月以来の低水準。項目別では、新規受注が前月の52.9から48.9へ大きく低下。生産指数も52.9から49.2へ。両方とも2012年8月以来の最低水準と。輸出指数 は47.5で前月と変わらずだが、6ヵ月連続で50割れの縮小圏で滞留。ただし雇用指数は51.3と、前月の47.6から上昇した。
10月に50割れに至るのではと思っていたら、その際は50.1とかろうじて50を維持。結局、このところ傾向的に減速を示していたので、やはり50を割れたかという印象。CRB指数に象徴される原油の値下がりが関連業界に影響を与えたのも大きいとされる。さらにドル高も米製造業にプレッシャーとなっている。
ISM製造業はこのところ傾向的に低下しておりCRB指数の低下とも整合性がありそうだ。単月での判断には無理があるが、それでも利上げする環境というには違和感がある。雇用面の回復だけで利上げに向かおうとしているFRB主流派も際どい判断を下すということか。
このところ米国経済の中で非製造業(サービス産業)の比率が高まっていることから、以前とは異なりこの指標の低迷が必ずしも米国景気の悪化を意味しないとの見方もある。実際に2012年11月に50割れとなったが、景気後退とはなっていないことがその理由として挙げられるが、この先2~3ヵ月の推移を見る必要があるということだろう。
さて日本時間今夜のイエレン議長の講演は、従来の見方を確認ということになるのではと思われる。インフレについて確証を得てから利上げしたいと10月に主張したブレイナードFRB理事の発言も予定されており、むしろこちらを注目している。タルーロ理事、ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁の発言も予定されている。