NY金は、前日のADP全米雇用報告の大幅上振れ(市場予想18.7万人増、結果29.8万人増)の余韻が残る中での続落という印象の展開。これで8営業日続落。2016年5月以来のこと。ちなみに、2015年7月には10営業日続落もあった。
ただし9日は、NY時間外を含め、24時間の価格レンジは1201.20~1208.90ドルと狭い範囲内での取引だった。基本的に本日の雇用統計を控え模様眺めだが、来週のFOMCに関しては、利上げはほぼ確定につき、平均賃金の上昇率を確認というところか。NY時間にはなんとか1200ドル台を維持した金だったが、アジアの早朝の取引の薄い時間帯に1200割れを見て、その後のアジアそしてロンドンと前日からは5ドルほど水準を切り下げた価格帯での推移に。
足元の金市場の方向を左右しているのは、米長期金利。つまり米10年国債の相場。9日は、欧州時間からNYに掛けて売られ金利の上昇が目立ち始め、NY時間の午後には昨年12月16日以来となる2.6%台まで上昇した。FRBの利上げ加速懸念を映す一方で、トランプ政権が10年で1兆ドルのインフラ投資を改めて打ち上げたことで、財政赤字拡大(金利上昇)を読むとい側面も。この金利上昇がファンドの売りを断続的に誘い出している。
一方、金利上昇は一般的にはドル高要因だが、それほどドルは全面高というわけでもなかった。2.6%台に乗ったタイミングでドル円は115円にタッチしたものの、ユーロドルは、この日ちょうどECB(欧州中銀)理事会が開かれ政策金利の据え置きが決まり、ドラギ総裁のタカ派的な発言を映し1.06ドル台前半へ上昇という展開。12月中旬のようにドル全面高には至っていない。実際に9日は、一連の動きを反映するドル指数(DXY)は、前日の102ポイント台から101ポイント台に低下した。
本日アジアからロンドンの金の1190ドル台半ばの水準は、1月31日以来のこと。実は2月末の1260ドル台まで上昇する起点となったのが、この1月31日だった。トランプ大統領が、イスラム圏7ヵ国からの入国禁止令に対する裁判所の差し止め判決の履行を求めた当時のイエーツ司法長官代理(女性)を「裏切り者」として夜遅くに更迭した、翌日にあたる。この日を境に、トランプ政権の掲げる政策実行度への不確実性に加え、政権運営自体に対する懸念が高まることになった。
2月1日から金ETFへの資金流入が始まり、その動きは先物市場でのファンドのフレッシュ・ロング(新規買い建て)を誘発し、2月の前半はETF主導、後半は先物主導の形で年初来の高値を更新し27日には1264.90ドルまで上値を見ることになった。
興味深いのは、その翌日28日が巻き戻しの転換点になったこと。
トランプ大統領のプロンプターを使った施政方針演説が、政策内容の不透明性はともかく、「無難にこなした」ことを評価する形で、株高が沸き起こりトランプ・ラリーが復活。この流れにFRBも急遽飛び乗りで決意を固め、FED関係者は利上げ利上げの大合唱で議長が最後に総括的に3月を示唆してEND。ADPの上振れを経て本日のNFP(雇用統計)待ちと相成った。この間、28日から昨日まで下げ続けの日数が8ということで本稿の振り出しに戻るわけだ。
次の流れの変化は3月15あるいは16日になりそうだ。
今回のFOMCで利上をし、宣言文に議会証言と同じ文言が記載されるようなら
「今後数カ月間にバランスシートの戦略について協議する」
第2バーナンキショック、イエレンショックが起きる可能性がありませんか?
今後の利上げ期待が大きくなったことで、一旦は円安に振れますが、
その後、株が暴落を始めるにつれ円高に………
株安、金安が同時進行するようなら金は今回が最後の買い場になるように思います。
暴落が起きれば、イエレン議長Vトランプ大統領の争いが起きそうですね。