追加利上げが確実視されている今回のFOMC。今回の利上げ方針は、28日以降に俄かに浮上し、FRB関係者しかも市場への影響力のあるメンバーが“3月利上げ”に声を合わせたのは、このタイミングをとらえ急遽利上げ実施に傾いたイエレン議長など中枢部の判断とみられる。
“市場とのコミュニケーション”と表現されるが、発言自粛期間(ブラックアウト)に入った先週は別として、先々週はその前にということだったのだろう、これでもか!という3月利上げを示唆する発言が続いた。3月3日のシカゴでのイエレン議長の講演の同日に時間的に先行したニューヨークでのフィッシャー副議長の発言がまさに、今回の経緯を表していた。
シカゴ大主催の金融政策の国際会議の講演後に参加者からこの週の複数のFRB高官の利上げ積極発言について質問された副議長は、「(利上げ期待を高めるための)意識的な取り組みがあるとすれば、私も加わる」とした。意図的な“追加利上げ織り込ませ戦略”があることを、あっさりと認めることになった。その場には、この会議に出席したダドリーNY連銀総裁、ブレイナードFRB理事(2人とも同じ週に利上げ容認発言で注目された)も居合わせたようだ。
28日の初めてのトランプ議会演説(施政方針演説)が無難に通過し、沸き立つような株高に象徴されるトランプラリーの復活。さらに足元の経済指標も強気の結果が続き、3月後半からは欧州での選挙への注目度は上がるのは必至。まだまだトランプ政権の先行きも怪しい。
こうした経過から、今回の利上げは、利上げ回数の上方修正よりも、予定より前倒しで行うという側面が強いのではと思われる。
上げられる時に追加利上げするなら、それは「今でしょ!」ということだろう。
しかし、市場は2017年3回の利上げが、4回に引上げられることを読んで動いている。足元で金の売りを誘っているのは、ずばり米長期金利、米10年債の利回りの上昇となっている。