亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

切れかかった鎖

2008年04月07日 20時18分23秒 | 金融市場の話題
金市場に独自材料がない展開が続いている。週末の米3月の雇用統計は伝えられているように8万人の雇用減で3ヵ月連続の減少。おまけに失業率も5.1%へと上昇。先週はFRB議長自身が議会証言にて景気後退を口にするところまで来ているので、ほぼ悪化は織り込み済み。それよりも先週はベア・スターンズを巡り、あわや国際金融崩壊もという状況があったことが浮き彫りになった。ある程度の予想はついたが、そこまで深刻だったかと改めて形振(なりふ)り構わぬFRBと財務省の対応の背景が見えた週だった。いわゆるシステミック・リスクと呼ばれるが、「信用の連鎖」と表現される金融市場で、その途中の“鎖が切れる”ことが連鎖的な破たんと、それに伴う投げ売りで正常・不良を問わず金融および資本市場が大崩壊、、、、現れる形としては大暴落ということになるところだった。その“鎖が切れそうだった”のがベア・スターンズということ。「切らないこと」を最優先したことの余波が、当初のベア株が1株2ドルというJPモルガン・チェースの取得価格とベア社への連銀の特別融資が焦げ付いた場合、実質的に国が肩代わりという対応策だった。

なんだか満身創痍という感じになりつつあるが、逆にこうした重大な決断をドンドン下してゆくバーナンキにしてもポールソン(財務長官)にしても、正直いって凄いと思わざるを得ない。我らの日本国では、どうなるのか。何度も何度も同じことを書くが、この問題はこじれにこじれたが、片方でリスク・テイカーが表れている点が快方に向かっている証と思う。

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7 コメント

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JPMの陰謀 (いつも拝見しております)
2008-04-07 22:23:29
お疲れさまです。

うそかほんとかわかりませんが、そんな話もあるそうです。実際、商業銀行筋の方が今回の問題債権をたくさん仕込んでいるみたいで、Citiはパトロンがついたからよかったものの・・・いずれにせよ。その後の経過がいいので、もう少し上を見るかもしれませんね。仕切ったものの、デ・レバレッジよりはまだ強めのインフレの方がはるかにマシと思います。
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リスク・テイカー (biaslook)
2008-04-08 00:52:53
リスク・テイカーが現れているのは確かなんですが、
一番のリスク・テイカーがFRBとNY連銀つまりアメリカ当局となってますよね。
アメリカ合衆国政府がリスクを全て受けきることはできるのでしょうか。
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長文失礼致します・・・ (いつも拝見しております)
2008-04-08 12:28:03
お疲れさまです。

最近、酒の肴にリチャード・クー氏に嵌ってます。その他雑酒片手にテレビに出てこないなとネットサーフィンしてたらこんなところにコラムを書いていました。読んだら思わず本買っちゃいました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/koo.cfm

結局、日本の場合はクー氏に言わせれば政府が究極的リスク・テイカーでした。BSC買収の過程では結局NY市場と言っても最後までリスク・テイカーが出現することなく政府救済になった点で日本とそれほど変わらないのではないかと思われます。もちろん、バーナンキ氏も日本のバブル崩壊について詳細な分析をしているはずですから、ある意味で日本と同じやり方を使ったということでしょう。ただ、クー氏いわくは日本では長期化した不動産下落によってちょっと前まで護送船団だったにも関わらず政府が介在しても国内に買い手が現れなかったほどバランスシートがひどかったことになります。つまり、アメリカではまだ、下がりはじめなのでリスクをとれる余地があるともとれます。まあ、時価会計というリングに上がっている以上、不動産価格が下がり続け決算ごとにバランスシートが悪化すれば日本と同じように米企業による救済も不可能になるでしょう。日本版バブル崩壊となれば、米政府は日本と同額かそれ以上の財政支出を求められると思います。(そういえば、ヴェリタスに時価会計停止の記事が・・・大技はこれかな?)それをやらなければ、GDPが毀損しデフレスパイラルのドル売り、やっても原資の米債の引受先がなければ金利急騰なんてシナリオが浮かんできます。ただ、米は大きすぎて潰せないので旧西側諸国は助けようとしますが、そのとき上海機構の連中がどうするのかなんて想像を膨らませたりも致します。「金」については長期は買いでしょうけど、ひょっとしたら安値が来ないかなーと待ってます。ちなみに昨日の読売新聞にクー氏と水野和夫氏と榊原氏ほかのディスカッション報告がのってました。ただ、読売だけに突っ込みが万人向けの激甘でちょっと残念でした。P財務長官がPな発言してますね。中南米諸国には政府市場介入は御法度とか?中南米市場をフリーフォールさせて利ザヤ稼いできたとホンネ言えばいいのに。最近、発泡酒からその他雑酒に格下げ(最近の流行語ですな)酔漢の戯れ言にございます。値上げが痛い・・・
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クー氏に嵌ってる「いつも」様 (ささやか)
2008-04-08 13:33:43
私もクー氏のバランスシート不況の考え方傾聴に値すると思ってます。仲間内でも何か理解されてない処あるみたいですが…
講演を聞いたのは2004年のセミナーだったと思うのですが本を読んだ事ないんです。
何をお読みになってるんでしょう?
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fairlane様 (どんぐり)
2008-04-08 16:28:14
Futures Analyast Basic Versionというのをダウンロードしてみてみました。ありがとうございました。
m(__)m
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『「陰」と「陽」の経済学』です (いつも拝見しております)
2008-04-08 17:54:32
ささやか様

前に出ていた本です。このころはM証券のM氏とD証券のM氏の本が出ていた頃でそっちに気をとられていました。出たての平積みになった本を手に取った記憶があります。読む本がたくさんあるからなぁ・・・と本を置いてしまいました。(残念!)今読んでるところですが、両M氏の書籍よりも読みやすく感じてます。書店で注文するより、近所の図書館にもおいてあるかもしれないので探してみることをお勧めします。
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ドクター クー (ナニユエ)
2008-04-08 22:39:29
リチャード・クー氏 バランスシート不況の概念を広められた先生ですよね 本も2冊くらい読みました。山本七平なみに好きです。でも goldの動きは年初に亀井先生のおっしゃったとうり(経済頂上なんとかでしたっけ)に動いていて 特別です。 先生も本をだされればよいのに
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