FRBが懸念し先月11月2-3日のFOMCでの政策決定に際し背景として指摘した環境が後のデータにより証明された・・・・・と解説できるのが先週末の11月の米雇用統計の結果となった。
今回は直前に発表された給与計算など米民間雇用サービス会社ADPのレポートが前月比で9万3000人の増加となり、雇用統計の見通しを強気にさせる根拠となった。なぜなら民間雇用者数の動向については、労働省発表のデータはADPの数字を大きく上回って推移してきたという経緯がある。ちなみに今回の雇用統計のなかで民間雇用の事前予想は16万人程度の増加となっていたのは、ADPの数字にも引っ張られてのことだろう(失業保険の新規申請件数の直近の数字も改善を示していた)。結果は5万人とこの部分だけで11万人の読み違えが発生した。もっとも「振れ」の大きいデータだけに、10月の速報値(全体で)15万1000人の増加が17万2000人に上方修正されたこともあり、株式市場などの反応は為替や商品市場ほどには大きくはなかった。
むしろ失業率の9.8%への上昇のほうが意外感はあった。景気に明るさが出て、ならば仕事を探そうかとこれまで職探しを諦めていた人が“就活”に復帰しても失業率は上がるが、そうでもないようだ。自ら前面に出したことでFRBにとって雇用の安定は明白な目標となった。QEⅡの実行のために国内世論を納得させるためでもあったと当方は見ている。それが過大なしかも政治色を帯びる政策目標をFRBに背負わせることとなった。結局、FRBは緩和策から当分抜けられなくなったのではないだろうか。
思えば、先月発表された米10月のCPI(消費者物価指数)なかでもエネルギーと食品を除いたコア指数の状況も、FRBが懸念するデフレ入りの方向を示すものだった。7月以降プラスマイナス0(ゼロ)で推移しており、厳密に表示すると10月は前月比マイナスになっていたこと。さらに前年同月比では0.6%の上昇ではあるものの、いまの形の統計が始まった1958年以来の最低水準であることが示された。外でも内でも何かプレッシャーがかかるとマイナスに転じてしまう危うさを感じさせる水準といえる。このデータもFOMC後に発表されたものだが、FRBが懸念したことが現実のものとなる方向を示したということで、QEⅡを納得させるデータ結果だったといえる。