亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

反動安の金価格

2010年12月08日 21時17分04秒 | 金市場

ドル建て金価格は連続の高値更新から反落となった。バーナンキFRB議長の“効かなければ国債買い付けをさらに拡大も”というニュアンスの発言を高値更新の推進力にした前日の展開とは一転した7日の下げ。時間の経過とともに1400ドル割れを見るところまで売り込まれることになった。年末の期限切れが迫っていたブッシュ減税の延長についてオバマ政権と共和党との間で妥協策が成立。当初年収25万ドル以下の層への減税は継続するものの、高額所得者を対象とする減税は終了する方向で進んできたが、そのまま2年間の延長となった。代わりにオバマ政権は長期失業者向けの連邦政府の失業保険給付の13カ月延長と給与税の引き下げを盛り込んでいる。

 

延長の対象範囲は所得税をはじめ配当やキャピタルゲイン税から相続税をまでを含むものでこのところ廃止見通しが高まるなかで、税率が上がる年明けよりも年内に売却益出しという投資家の動きが株式など各市場で見られていた。先の中間選挙で議会勢力図が変ってしまった結果、オバマ政権の財政刺激策の実行は難しくなっており、共和党の進めた減税策を取ることで個人消費を押し上げようとのことだろう。共和党に対する譲歩のイメージを “国民のための選択” を前面に出すことで和らげるという狙いもありそうだ。

 

減税策の延長は、言うまでもなく個人消費にはプラスとなる。足元でクリスマス商戦の好調が伝えられていることもあり、この政策で年明け以降も個人消費の上向き傾向が続くとするならばFRBによる緩和策の拡大も必要がなくなるかも知れぬ・・・・こんな連想が7日のNY市場では緩和策拡大見通しのなかで高値を追った金市場では利益確定売りの背中を押した。

 

一方で減税策延長は政府にとっては財政赤字の拡大につながることから、米国債が売られ逆に利回りが急騰している。米10年債の利回りは7日の市場で0.224%上昇し3.165%となった。取るに足らない上昇と映るかもしれないが、これは国債の価格が前日比7%以上下がったことを意味し暴落といえる。わかりやすく例えるならば1400ドルの金価格が1日で100ドル下げたことに相当する。この長期金利の上昇でドルが買われ金が売られたという解説が欧米メディアには出ていたが、この上昇は言うまでもなく悪い金利の上昇。FRBも対応に苦慮することになる。ユーロ圏の財政問題への関心の高まりは、ひとり米国は蚊帳の外というわけにはいかない状況を映しているともいえよう。1400ドル台に乗せて日が浅い金市場ゆえに、まだこの価格帯は“こなれた”とは言い難い。現段階で足元のような反動安は付き物といえる。

 

 

・・・・・・以上は午後の段階でほとんど書きあげていたが、仕上げに手が回らず外出。ただいま地下鉄日本橋駅のホームベンチにて更新。。。

 


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