週末10日金曜日の米雇用統計まで主要な経済指標のない今週だが、本日の米貿易収支のように、これまで注目度が低かったものの、トランプ政権になり位置付けが変わったものがある。言うまでもなく、米国の貿易赤字こそが貿易不均衡の証しとして、赤字の相手国に問題があるとして2国間で話し合い赤字の解消を図ろうというもの。
ホワイト・ハウスに新設された、つまり大統領直轄の機関である国家通商会議の委員長が対中強硬派のピーター・ナバロ元カリフォルニア大教授だが、6日に「中国の通貨が過小評価されていることは明らかだ」と名指しで批判したのは、米貿易赤字の半分が中国相手だからだ。
日本に対しては「高い非関税障壁がある」として自動車を問題視していることを再表明。「(日本から)米国への2日分の自動車輸出は、米国から(日本へ)の輸出の1年分より多い」と発言したと伝わっている。確かに日本では、いわゆる外車はドイツ車が他を圧倒している。“アメ車”は燃費が悪かったりという技術的な問題などから選ばれなかったわけで、関税以外の障害とは何ぞや?という感じだ。当然売れないものを継続して扱うところは減るわけで、販売網も育たなかった。それにしても対日貿易赤字の80%が自動車ということから、これから自動車会社にはプレッシャーが掛りそうだ。
・・・・・で日本時間の22時30分に発表された1月の米貿易収支は市場予想に沿った485億ドルだった。単月ではこの8年間は、おおむね350~500億ドルの範囲で推移しているということなので、大きい部類に入るものだった。これに対してピーター・ナバロは、どうコメントするか。
金市場の方は、イエレン講演の当日からETFに売りが出ている。入れ代わり立ち代わり続いた連銀総裁の利上げを示唆する発言には動かなかったETF組が、イエレン発言で売り始め、週明けの6日も減少となった。価格は100日移動平均線が1214.50ドルに位置しているので、
その攻防戦になっている。3月15日を過ぎると、次は地政学的要因に材料が移行する流れ。