IMF・世銀総会それに合わせて開かれたG20。先週末は金融当局者の発言が続いた。中でも焦点はやはりFRB関係者。出色はスタンレー・フィッシャーFRB副議長だった。「仮に海外の成長が予想よりも弱い場合」米国経済の状況によっては利上げ開始が遅れる可能性があるとの見解を示した。同副議長はFOMCでの話し合いのまとめ役としてイエレン議長をサポートしていると目されている人物。その発言ゆえに市場に対する影響力も大きい。もっとも内容は、8日に発表された9月のFOMC議事録要旨に盛り込まれていたもの。
他にも11日は、タルーロFRB理事が国際金融協会(IIF)の主催した会合で、世界経済の成長を懸念しており下振れリスクの方が上振れリスクより大きいと発言したと。同理事は、FOMCでの政策検定に際し「これらは明らかに考慮しなければならない問題」としている。またシカゴ連銀のエバンズ総裁はドル高と海外の景気減速について言及し、FRBが目標としている2%のインフレ率の達成を阻害する可能性があるとし、その場合には利上げの根拠が弱まるとした。
それにしても、ここまで地政学要因以外に欧州など外のことにはあまり触れてこなかったので、この部分は市場にとっても、サプライズになったのは議事録発表後に金も含めてやや潮目が変わったことからもわかる。うがった見方をすると、ここに来て口裏を合わせたようなこれらの内容は、月末のFOMCに向けた準備かもしれない。
金については、イラクでの「イスラム国」の侵攻が再び活発化していることや、米国内でエボラ出血熱の2次感染が伝えられたことも、市場心理に影響し何やら不穏な空気が漂ってきた。それらがファンドの買い戻しにつながっているようだ。「イスラム国」はやはり空爆だけでは成果を挙げられずということになっている。