この1週間のNY金の値動きは、20ドルの範囲内でのいわゆるレンジ取引の様相。その上で1270ドル台に滞留する展開。
このところ同じことを書くが、思うのは株価の史上最高値更新やFRB次期議長の指名にからんだ憶測、米国議会での税制改革案の進捗状況や好調な米国指標などなど日々様々なニュースが流れる中で、この間に米10年債金利(長期金利)が2.4%手前の水準で安定していること。先週半ばには一時2.4%台後半まで上昇したものの、その後騰勢が一服状態となり、今週に入って発表される指標の好調さにも反応薄となっていることが、金市場では1270ドル台の維持として表れていると思われる。ファンドのプログラムの影響ということだろう。
この日注目されたFOMCの結果は、予想通り政策金利は据え置きとなり無風で通過した。しかし、声明文の内容は以前より景気見通しに対して「solid(堅調)」との単語を使うなどポジティブな表現に変わっており、緩やかな利上げ継続を示唆するものといえる。12月の追加利上げは、この先サプライズがない限り実施されるだろう。
10月から始まっている「資産縮小」つまりこれまでばら撒いたドルの回収については、軽く、「proceeding(進めている)」としたのみで、“このことは気にしないでね”と言いたげな印象。歴史的な・・・というと大袈裟だが、政策転換に際し波乱は起こしたくないというイエレン議長ならではの配慮というべきか。ここまでの主役は、静かに裏口から退出している。気が付いたときには、既にフロアにはいなかった・・・ということに。
日本時間の早朝に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、「パウエル議長に指名を通知」と報じた。このニュースを受け、2日のアジアの時間帯の取引で金は、NYの午前中に一度は超えて高値をつけた後に売り戻されていた1280ドル台を回復している。次期議長が同理事となれば、イエレン路線の踏襲となり利上げの加速はないとの読みによる。
ちなみに、1日のNY時間の1280ドル超の高値は、発表されたISM製造業景況指数が予想を下回るとともに、前月の水準も下回っていたことに反応したものだが、水準としては依然として高く、この動きは直ぐに収まっていた。明日の米雇用統計を前に、本日は米下院共和党がまとめ1日の予定が延期されていた税制改革法案が発表される見込みとなっている。5年後の2022年に法人税率を20%にするという段階的引き下げに、トランプ大統領が難色を示したと伝えられたこともあり注目される。なお雇用統計はハリケーンの影響から雇用者数がマイナスとなった前月の反動もあり30万人の増加が予想されている。引き続き平均時給の上昇率が注目点。