亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

リスク・オンの株高の中で金市場ではファンドのポジショ調整続く

2017年10月03日 22時46分14秒 | 金市場

週明け10月2日のNY市場の金価格は続落。安値は1272.00ドルまで。そして3日の市場はアジアの時間帯は売りが先行する前日までの流れは変わらず、先物は1270ドル台維持するもスポットは早々に1270ドル割れに。しかし、それ以上の下値を見ることはなくおおむね1270ドル台前半での横ばいで推移。

先週に続き金市場では、ファンドによる先物市場でのロングの整理売りが続いている。

先週末にCFTC(米商品先物取引委員会)が発表したデータからは、ファンドの買い残は26日時点で前週比73トン減少となった(オプション取引を除く)。2週連続の減少となりネットで合計131トンの現象。これだけの売りが出たことになる。8週間連続増加後の2週連続減で、この面では未だ調整一巡とは言い難い状況にある。

この日の注目は、発表されたISM製造業景況指数が、60.8と前月の58.8からの下落を読んでいた市場予想とは裏腹に60を超える拡大となったこと。この水準はまさに絶好調を意味し、実際に2004年5月以来約13年ぶりの高水準でもある。この結果だけを取り出せば、“利上げはやるでしょう” と即答できるレベルのものといえる。2日は、NYダウやS&P500種など主要株価指数が過去最高値を更新する、いわゆるリスク・オンの市場環境となったのもうなずける内容だった。

ところが意外にも、13年ぶりの好調を示すデータにもかかわらず米長期金利やドルの反応は限定的なものにとどまった。ラスベガスで発生した銃乱射事件が影響したとも見られるが、細目では価格指数が大幅に上昇したのが目に付いたものの、ハリケーンによる供給網の乱れが価格上昇につながったもの、したがって一過性のものと理解されたようだ。つまり金市場にとっても、さらに押し目を深くする材料とはならなかった。

地政学的要因の方は、先週末9月30日に中国を訪問したティラーソン米国務長官が、その際の記者会見にて米国務省が北朝鮮と「独自のルートを通じて、直接」対話していることを明らかにするということがあった。緊張緩和を連想させ金の売り要因となった。もっとも、この件に関しトランプ大統領がツイッターへの投稿で「小さなロケットマンと交渉しようとすることで時間を浪費していると(国務長官に)告げた」ことを明らかにしている。つまり、ホワイトハウスと国務省のスタンスの違いが思わぬ形で浮き彫りになっている。

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