亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

システムが負荷に耐えられず悲鳴を上げている(ソブリン・リスク)

2011年06月21日 17時19分06秒 | 金市場

結局、ギリシャ支援はギリシャ国民の手に判断が委ねられた。現時点で財政緊縮策を拒否することは、すなわちデフォルトが時間の問題ということになる。各国金融当局は厳戒態勢でウォッチしている状況だろう。

 

さてFOMCが始まる。

 

米国については、そもそも07年以降のバランスシート調整は「米国だけは別」ということはなく、長引くと見ている。金融財政双方から対応策が打たれる度に回復トレンドが生まれるものの、結局は以前のような巡航速度に戻るには相応の時間が掛るということ。カンフル剤が効いている際に出口戦略が論議され楽観論が高まるのだが、自律回復は心もとない。そうこうしている間に、目算にしていた刺激策を解除するタイミングがやってくるのだが、その時点で予定通りの回復は見られない。したがって刺激策の延長ということになるが、その策を講じる政府なり金融当局のシステムが負荷に耐えられない状況に至るという流れである。

 

米国については09年3月から翌10年3月の量的緩和第1弾(QEⅠ)の終了に続き、今回が2つ目の節目となるが、悪化は防いだという点で政策効果は出ているが、それ以上のものは残念ながら表れていない。(FOMCを前にした)現時点でFRBの景気見通しは足元の減速は一時的(ソフト・パッチ)で下半期には回復が加速するということになっている。果たしてどうか。住宅価格の下落は止まっておらず、雇用の改善も予定通りの軌道には乗っていない。頼みの新興国は締めに掛っている状況だ。

 

歴史の綾(あや)というと大袈裟だが、FRBの刺激策が一巡する段階で、政府財政にも余裕がなくなり中東での軍事行動にまで支障をきたす状況となっている。共和党の反対もあり、財政から景気サポートはこれ以上は望むべくもない。連邦債務の上限問題は早晩妥協が図られよう。しかし、その遅れが米国債の格付けにひび割れを残しそうだ。

 

歴史的な観点からは、08年秋の国際金融危機後の大恐慌入りを防いだものの、それを支えるシステムが持たなくなってきているということ。「システムが負荷に耐えられない」状態となっている。まず弱いところから財政および政治(統治)システムに綻びが出ている。これには限界に達している金融政策も含まれる。その最たるものがギリシャをはじめユーロ圏の重債務国問題であり、健全財政をうたった米国も他人事ではなくなった。

 

 


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3 コメント

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中国までもが (アルピーヌ)
2011-06-21 18:26:32
ハードランディングしたら
どうなるんでしょう?
ボルトン ポールソン 大変だ

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Unknown (fairlane)
2011-06-22 00:16:11
仙谷さんのハイパーインフレ発言が報道されてましたが、結局そうなるしか無いんじゃないかと

デタラメ予算を組んでれば、いつかそうなる でも、国民は増税にはうんと言わないでしょう。どこの国でも政府のお金の使い方はうさん臭いものですから

かくして土壇場まで増税せずに、どんどん財政を悪くして、最後には市場の暴力でハイパーインフレが起き、税金の代わりに私たちの資産を奪い取っていく

この繰り返しなんでしょう 有名なハイパーインフレ本にこのような説明がありますが

でもこれが人間の性質なんでしょう

今後30年増税で、冷え込んだ生活するなら、いっそのことハイパーインフレで吹き飛ばした方がほうがいいです 苦しむのは短い方がいいですもん ギリシャ国民もそれをのぞんでいるんじゃないかと
返信する
ポールソンが中国株、金融株で巨額損失!? (Kファン)
2011-06-22 16:10:47
今日の日経電子版を今見たら記事が載っていた。

ポールソンが大量の金(ETF)を保有しているのは誰でも知っている有名な話だ。

1 金価格が急落する?

2 中国株や米株などに悪影響が出て世界市場のリスクになる?

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