亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ウィーク・ロングの手仕舞いを大勢の変化と見誤るなかれ

2008年04月02日 23時48分34秒 | 金融市場の話題
昨夜と今朝は出先のネット環境がおもわしくなくデータ確認に手間取ってしまった。さてこの時間にすでに取引が始まったNY株は小安く始まっている。昨日の上昇がショートカバー(空売りの買い戻し)を巻き込んだ結果の391ドルという派手な上昇であって、同じ方向にそうは続くまい。(昨夜少し触れたが)金市場も1日遅れで発表される取組高のデータを見ると手仕舞いがかなり進んだとみられ、おそらく4月1日の段階で1月15日のピークからは20万枚(1枚=100オンス)、直近の3月14日からでも約10万枚以上減少したと見られる。いつもそうだが、起きる現象は複合的だ。

先週の火曜日、3月25日にここで「悲観論に浸っている場合でないよ・・・と我思ふ」と題して書いたが、要は問題資産(サブプライム関連商品を筆頭に最近では広がっている)の買い手すなわちリスク・テイカーが現れるのか否かが焦点であって、中銀(この場合FRBですねぇ)や政府(財務省)が一線を越えて動き出したので、「根本的な解決には時間は要しても、峠は越えつつあるといっていいと思う」とした。「いずれにしても凍りついた住宅ローン証券化市場が緩みだすのは間違いなかろう。100%成功の保証など誰にもできないが、快方に向かうといっていいと思う。悲観論に浸っている場合ではないのではないかと思う」とも。

一時は第2のベア・スターンズと騒がれたリーマンへの増資の話もそうだが、先々週あたりを境に傷んだCDO(合成債務担保証券)なども買い付けようというファンドが立ち上げられたなどという話が伝えられていた。さらなるリスク・テイカーの登場が市場を安心させるのは言うまでもないだろう。とにかく解れるには時間は掛かっても、解決への方向性が示されるだけでマーケットは先取りするというのが、昨日起きたこと。新たな4半期入りというタイミングもあって増幅効果は否めないが、マーケットもそれを感じ始めたということか。FRBのベア・スターンズ支援に際し実務部隊であるNY連邦準備銀行に損失が出た場合、財務省への納付金を削ってよい・・・つまり実質的に政府が損を被るという密約(というのは語弊があるかも知れないが?)が明らかになったとされる。やはり中銀と財務省がスクラムを組んで事にあたっているわけで、資産デフレから金融機能マヒに至る状況は絶対阻止につき、なんでもありの緊急避難ということだと思う。

この環境を考えるなら、ウィーク・ロング(weak long)の手仕舞いを大勢の変化と見誤るなかれ。つまりこれも“相場のアヤ”ではないか。日柄整理、レンジ相場の金市場。

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