リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック・リュート奏法の歴史的根拠(1)

2022年11月01日 13時43分48秒 | 音楽系
バロック・リュート奏法の歴史的根拠なんて大上段に構えましたが、そんなに重厚な理屈の話ではありません。ギターの指使いと違って、リュートではこうなんだ、というもともとの理由はどこから来ているのかをいくつか巡る軽いエッセイだと思ってお読み下さい。

ただこの手の話になると、知識欲旺盛な方が、この弾き方はどこそこの誰それが書いた何々という本に載っているなんて自慢げに話す方がときどきいらっしゃいますが、私はこういった教条主義に与するものではありません。演奏において実際問題どうするのかということが一番重要で、これはなかなか言葉で書ききれるものではありません。幅広い演奏体験が必要です。でも演奏体験だけだととんでもない間違いに陥ってしまうかも知れません。何しろ300年400年前の演奏習慣ですから。映画音楽の担当で名をあげた某ギタリストが弾くシャコンヌの最後のトリルなんか勘違いの典型でしょう。そういうことに陥らないために当時の理論書などを手がかりに実際の曲の演奏を重ねていく必要があります。使うべき楽譜は一次資料もしくはそれに準ずるものです。