リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック・リュート奏法の歴史的根拠と実践(12)

2022年11月19日 15時39分22秒 | 音楽系
フィリップ・フランツ・ルサージ・ドゥ・リシェー (以下ルサージ)により1695年に出版された「リュートの飾り棚」(Cabinet der Lauten)という曲集の始めのページには15項目によるリュートのテクニックや装飾についての記述があります。


表紙です。




この曲集は現在のヴロツワフ(ポーランド)で出版されました。当時のドイツから見るとブレスラウ(シレジア)という街で、ヴァイスはこの街の近くのグロトクフという小さな街で生まれました。

ルサージはムートンの弟子だったようで名前もフランス人っぽい名前ですが、実際はシレジア人でヴァイスファミリーに近いところにいた人だと考えられています。

その彼の「飾り棚」におけるテクニック・装飾に関する記述はその少しあとのいくつかの手稿本に引用されています。ヴロツワフ大学図書館にあるMf.2002手稿本はそのひとつで、ルサージより多い22項目にわたり記述されています。