リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロックリュート奏法の歴史的根拠と実践(4)

2022年11月05日 11時49分15秒 | 音楽系
しかしバロック・リュートのタブではこれがひっくり返っている、すなわち人差し指の印が奇数番目の音(表拍)についていることが時々あります。これは右手の中指、人差し指の交互運指(以下中人と略)だと逆指になるのを避けるためです。

実際にはタブに指の記号は付いていないことが多いのですが、付いていないところでもこの方法が使われると推測されます。ちなみにフランスのソースには右指の記号が付けられていることがときどきありますが、ヴァイスのタブには指の記号がついていることは非常に少ないです)

当時の資料から窺えるのは、右指の運指は中人の順かその逆のどちらかであって、1コースは中指、2コースになると人差し指ばかりで弾くような運指とか、途中で人差し指(または中指)連続が2回以上入るような運指はないということです。(こういう指使いの人多いです。無意識にやってしまう場合もあるかも知れませんがきちんと交互奏法にした方がいいです)バロック・リュートの場合は沢山例外も出てきますが、原則はこれです。

あと交互弾弦のことについてではありませんが、アルペジオとか途中で弦が替わるときで人差し指を連続で使う運指は結構使われていたということも申し添えておきましょう。(あとで少し触れるつもりです)

※順指、逆指(じゅんゆび、ぎゃくゆび)
弦を変えてメロディやアルペジオを弾くときに、中指を弾いてその次の人差し指で弾く弦が中指で弾いた弦よりバス弦側の弦であれば順指、人差し指が中指の弦よりトレブル弦側であれば逆指といいます。一般的でない言い方かも知れませんが、一部のギターの人もこの言葉を使っています。鉄棒の順手、逆手と同じような発想かな?