リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロックリュート奏法の歴史的根拠と実践(14)

2022年11月22日 09時36分18秒 | 音楽系
今まで見てきましたように左手の薬指の指示がある楽曲は確かにありますので、少なくとも17世紀後半から18世紀初め頃には薬指を使うテクニックがあったというのは間違いありません。

ただ、先述していますように、バロック・リュート用のタブに限ったことではないのですが、タブに指の指示があることは稀で、指の指示があるところは特殊な指使いだということなのでしょう。

特殊な指使いをするところというのは、速いアルペジオなど技術的に華やかな部分に限られているようです。指の指示がないところでは概ね親指、人差し指、中指を使って弾いていたと考えられます。

では具体的にどうするかということになると、これはやはり装飾の弾き方と同様、経験を積んだ方に直接教えてもらうのが一番だと思います。1コースのメロディは中指連続、2コースは人差し指連続で弾くなんて論外。でもこういうの多いです。また学術的にということで文字情報や聞き覚えだけで適当に解釈するとトンデモ演奏になってしまいます。(方向性は買いますが)先達には技術的なことだけでなく音楽そのものを教えてもらうべきですけどね。

さて次回から装飾記号に戻って、コンマ様の印以外の装飾記号も見てみましょう。