Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

20年ぶりの再会

2008年03月29日 | 家・わたくしごと
 20年前、名古屋でワヤンを上演したとき失くしてしまった1体のワヤン人形があった。探しても探しても見つからずに、私はあきらめてその後、自分の師匠にその人形を新たに作ってもらった。それも随分前の話だが、そのとき師匠は「失くした人形はいつか戻ってくるものだ」と言っていたのをぼんやりと覚えている。私は当時そんな話を信じなかったし、20年後、私はその人形と偶然にも再会するなんて思ってもみなかったのだ。
 先日、名古屋にいったとき、私はその人形と再会した。それはある資料館に収められていたのだが、私は交渉をしてその人形を受け取り、再び自分のワヤンの収納箱に納めることができたのだ。つまりワヤンは私の師匠が言ったように、再び私のもとに戻ってきたのである。出張に名古屋に行かなければ、そして資料館の倉庫の中の私の通った場所に人形が置いていなければ会えなかったものだ。まさに不思議な話である。
 私は明日のワヤンにこの人形を使うことにした。20年ぶりにこの人形は影絵となって再び生き返る。どんな気持ちで明日を待っているのだろう。ぼくはこの人形に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。20年もの長きにわたって、人形箱の仲間たちと離れ離れにさせてしまったのだから。人形はきっと私を呼び続けていたんだろう。そんな言葉が20年も聞こえなかった私はダランとして失格だ。