Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

電車で子どもの泣き声を聞いたとき

2012年11月25日 | 家・わたくしごと
 週末の晩遅くに中央線に乗っていた時、すぐ近くで子どもの鳴き声が聞こえた。泣き叫ぶわけでもなく、それでも断続的に続く鳴き声。若い父親は突然の鳴き声に動揺したのか、黄と青の保護色に染まった小さなハンカチを子どもの目の前にちらつかせてあやそうと懸命になっている。何事も無いと言わんばかりに無表情な周囲の乗客。あえて、聞こえなかったことにして「この時」を一瞬でも早く過ごしてしまおうとしているのか?
 真っ暗な窓の外を眺めながら、ボクはそんなかよわい子どもの鳴き声に耳を澄ました。すると、突然、自分の子どもがそんな小さかったの頃のことがぼんやりと記憶の中に蘇った。子どもをあやす父親がいつのまにか自分の姿に重なって、ボクは、夢中になって子どもの小さな手を握って泣き顔に向かって微笑んでいる。やわらかくて小さな手…。
 突然、涙が溢れた。他の乗客に気づかれないように、必死にできるだけ暗闇の遠くを眺めているフリをしながら、カバンの中にしまったハンカチを手探りで探した。ちょっぴり涙でうるんだ目が扉の窓に映る。戻れない彼方の記憶。手の届かない過去。どうしてこんなに涙が出るんだろう?どうしてこんなに悲しいのだろう?