Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

旧陶芸棟から

2012年11月30日 | 那覇、沖縄
 沖縄県立芸大の美術工芸学部が新キャンパスに移転してからもう1年以上が経った。結局、退職するまで一度も新校舎に行かずじまいだった。ガムランが置かれた附属研究所のキャンパスにあった陶芸や織、染色の専攻も今はすっかり移転してしまって、今は空っぽの校舎が残るだけ。作業用のつなぎを着た学生たちのにぎやかな声が聞こえた頃が懐かしい。ガムランにもそんな恰好のまま、作業を抜け出して参加していた学生たちがいた。今だって、そんな学生たちの名前も顔をはっきり思い出すことができる。
 何もない、誰もいない静かな陶芸棟から那覇の街が一望できる。海も島も。ガムランの練習の合間によくここにきて街を眺めた。ここが戦争の悲劇の場所だったなんて想像もできないほど素敵な風景だった。自分がたっている場所だって、首里攻防戦の激戦地だったのに。
 風の便りで、校舎が取り壊されると聞いた。なんだか無性にもう一度この場所に立って、お別れした那覇の街を見ておきたかった。もうこのテラスもなくなるかもしれないのだから。雨あがりの曇った風景で、遠くの島々まではっきりと見えなかったけれど、それでもこの風景を眺めた長い年月を反芻して、ここから見たさまざまな風景を順繰りと思い出すことができた。お別れ……だね。