社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「ケア期間からみた在宅ホスピスケアの問題-短期間(7日以内)で終了する末期がん患者の在宅ケア-」

2009-09-03 09:00:43 | 医学
川越厚、松浦志のぶ、染谷康子、大金ひろみ
『癌と化学療法』35,December,2008

第19回日本在宅医療学会学術集会での報告でもある。

川越氏の実践現場である「パリアン」における、短期間(7日以内)のがん患者と14日以上のがん患者の支援方法を比較検討している。
訪問看護の視点から、訪問頻度や緊急電話の頻度を分析し、「計画的な訪問看護(通常訪問看護)を適切に行えば、訪問看護師が緊急対応しなければならない頻度は低くなり、看護師へかかる負担を軽減することができる」という結論を導き出した。


引用
在宅ホスピスケアは通常、経時的に「開始期」「安定期」「終末期」に分類される。
「開始期」→病院から自宅への移行に伴う不安
「終末期」→死を前にした不安

診療所に在宅ホスピスケアの依頼が入った時点での、患者の療養場所による違い
→在宅で療養…開始期が終了している
 病院で療養…死亡までの1週間以内に開始期と終了期を同時に経験しなければならない


経験では分かっていても、それは理にかなっているのか?と感じることは多くある。筆者も述べているように、この論文は「臨床的な経験知は、エビデンスに基づいているのだろうか」を裏付けする論文である。それゆえに、「ハッ」とするような新しい発見は少ないが、自身の実践を後押ししてくれるような、そんな勇気が湧く論文であると感じた。

患者の新規依頼時に、患者が療養している場所によって、支援方法が異なってくる…という結論はとても重要である。
医療サービスの導入と同時に、介護体制をも構築しなければならないケースこそ、ソーシャルワーカーの果たす役割は大きいと感じる。
コメント
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