社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

『「分ける」契機としての教育』星加良司(2015) 「支援」編集委員会 支援Vol.5生活書院

2015-05-12 11:49:48 | その他
「わけること、わけられること」をテーマとした雑誌?に収められている。
教育の場において行われている、選別化、個別化等について、主に障害者(児)教育の面から論じている。
障害の有無という面のみならず、広く人が住まう社会に置き換えて考えることができた。

引用
・義務教育は原則としてすべての子どもに提供されるものであり、それは結局すべての子どもが教育可能だという前提に立つものだから、恣意的な選り好みは基本的には認められない。しかし、実際にはその「最低ライン」において「選別」は行われている。
・仕事に役に立つ能力を持った人が社会から求められ、大学はその指標として役に立つ教育評価を求められ、そのためには教育内容そのものを見直すことが必要となる。すると今度は、そうした内容を「教育可能」な人を入学させることが必要になり、そのためには高校の教育内容と教育評価をそれに合わせて調整する必要が出てくる。そして、この構造は初等教育、はては家庭における幼児教育にまで遡っていく。


その人の個性を見つけることは、同時に他者との「違い」を見つけることにもなる。
個性を活かそうと「特別な教育」を施そうとすると、それはすでに「わけること」につながるのかもしれない。
わけられた環境で能力が開花できれば、与えられた環境はその人に合った環境であったと、肯定的に捉えることができる。
ではそうならなかったら、わけかたは過ちであったと簡単に言えるのであろうか…。

環境のもつ力と、他者をわけようとする社会システムと、それに適応しようとする人たちと…。
本当に色々と考えさせられる…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする