社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「死別を体験した子どもによりそう~沈黙と「あのね」の間で 西田正弘・高橋聡美著(2013)梨の木舎

2015-05-16 10:13:19 | その他
子ども向けのグリーフサポートセンターを運営している方の書物。
理論と実践(当事者の声)をわかりやすくまとめている。
子どものグリーフをサポートするために大事にしたい19のことがまとめられている。これは死別体験をした子どものみならず、より広い対象者においても参考になる項目であると感じた。

引用
・(子どもの悲嘆反応の)多くは、大人の悲嘆反応と共通するものですが、トイレに行けなくなったり、自分でご飯を食べられなくなったり、親から離れられないなどのいわゆる赤ちゃん返り(退行減少)は、子ども特有の反応とも言えます。その根底には「不安感」があるようです。
・自死では。社会的な要因も相まって様々な問題が生じますが、死の本当の原因がわからないことが多いだけに、遺された遺族は果てしない「なぜ」と向き合うことになります。
・喪失体験と言ったときに、死別だけがとりわけイメージされやすいですが、喪失は死別だけではなく、離別や引っ越しなども喪失になります。(中略)そう考えた時、喪失体験を持たない人はいません。


「グリーフを抱えた子どもたちは、かわいそうな子ではありません。(中略)「かわいそうだ」と思うのは周りの人たちの感情であり、子どもたち自身は「悲しい」「つらい」などの気持ちはあっても、「かわいそうな子ども」とは思っていません。

…という文脈がある。感覚として理解はできるが、もう少し自分の中で咀嚼が必要な事柄である。
悪意はなく、蔑む意識もなく、率直な思いとして、「気の毒だから、かわいそうだから。何か力になれることはないか?」と思う人もいるだろう。私もその節はある。
共感という枠組みに、「かわいそう」という感情は適切ではないのかもしれない。こちらの尺で相手の立場を位置づけてしまうことの警笛として、筆者は説いているのかもしれない。


死別を体験した子どもによりそう―沈黙と「あのね」の間で
クリエーター情報なし
梨の木舎
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