社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「老いてさまよう 認知症の人はいま」 毎日新聞特別報道グループ 編著(2015)

2015-05-26 11:40:16 | その他
認知症高齢者とその家族を取りまく現状について、新聞で組まれた特集記事をまとめたもの。
住み込みでの取材等、リアルで身につまされる光景が綴られている。

引用
・(訪問介護は名ばかりで、十分なケアが行き届いていないと認識しながらも、そこを紹介する行政幹部の声)
 「自分の親なら、預けられない。でも社会資源として使わざるを得ない」
・昨年、認知症で行方不明者届が出された人は1万322人に上り、388人の死亡が確認されている。
・(認知症行方不明者の公表について、個人情報保護法が壁となり、公表に消極的である現状に対して)詳細な内容を公にした埼玉県の上田清司知事は「当事者が救われて有益なら個人情報保護からの面からも問題はない」と強調した。


出歩かないように、個室の部屋にはカギを掛ける。やがて、出歩く体力もなくなり、ベットで終日過ごすようになる。人手が足りないため、排泄のケアが不十分で、皮膚トラブルの発生はもちろんのこと、部屋中に異臭がこもり不衛生な環境が出来上がる。
これはまれに起こる現象ではなく、結構起こりうる現象であろう。手をかけ時間をかけ、その人に向き合い思いをよせ、心のこもったケアをすることは本当に難しい。特に施設でのケアは、「最低限、これを提供しよう」と消去法的な考えでケアを提供しがちであろう。そうしないと全ての人に均等なケアは提供できないのだから。

高齢社会となり、認知症の方が増え、これからの社会はどこに向かっていくのだろうと、しみじみと考えさせられた。

老いてさまよう 認知症の人はいま
クリエーター情報なし
毎日新聞社
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