社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「孤独死のリアル」結城康博(2014)講談社現代新書

2015-05-06 09:40:48 | 社会福祉学
筆者が実践や研究を通して目の当たりにした、高齢者等の孤独死の現状を報告
一般購読者向けということで、理論を固めて伝えるのではなく、現状のままを書き綴っており、読みやすい。

引用
・「孤独死」について、全国の自治体で統一した定義はまだない。本書では、おおよその共通認識とされている、「自宅で誰にも看取られずに亡くなり、その死が数日後に発見され、自殺や犯罪を除く遺体」という亡くなり方を、「孤独死」と呼ぶこととする。
・独り暮らし高齢者の数は、(中略)総人口比でみると、1980年にには133人に1人だったのが、2010年には27人に1人、2015年には、21人に1人ということになる。
・孤独死問題への対策は、①「予防的視点」(孤独死を未然に防ぐ対策)、②「事後的視点」(やむなく孤独死しても、早期に発見する対策)の2つに分類できると考える。
・独り暮らし高齢者を中心とした孤独死対策でポイントとなるのは、「買い物」「食事」「交流」の3つの場が、住宅地に整備できるかということである。これらは徒歩圏内に整備されなければならない。
・通常の見守り活動や対応などは、非公務員の包括支援センター職員や、自治会役員・民生委員などの民間人などによる互助組織が担うにしても、最終的な判断は自治体職員や警察官といった公務員が行い、責任を担うという体制が必要であろう。一部にクレームをつける住民がいたとしても、公務員が対応すれば納得、信頼されることが多い。
・今後、孤独死する人が増えていくとともに、孤独死で親族を亡くす人も増えていくだろう。第一発見者となった場合のカウンセリングなども含めて、孤独死対策は、遺族に対するケアもふまえて考えていく必要があるだろう。


単身者であっても、本人の覚悟と周囲の理解、協力があれば、自宅で最期を迎えることは可能であろう。それは私も、実践から学んだことである。
しかしそれは「孤独死」とは紙一重で、いまは「家で最期を」と腹をくくっていても、数分後には不安に駆られ、「病院や施設などの人がいるところで…」と思いながら死を迎えた場合、本望ではなかったという解釈で、「孤独死」となってしまうかもしれない。

また人の家に立ち入ることは本当にシビアな問題で、支援者側が「緊急時」と判断しても、高齢者本人がそうと感じていなければ、大げさにいえば「不法侵入」に触れる事柄かもしれない。そういったことを踏まえると、筆者が指摘するように、非公務員や民間人だけでも支援は限界があり、そして介入を足踏みさせてしまう要因にもなりえるだろう。

躊躇しすぎず、でも立ち入りすぎず…。「自宅」での支援は本当に難しい…。


孤独死のリアル (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社
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