社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「孤独死を防ぐ 支援の実際と政策の動向」中沢卓実/結城康博 編著(2012)

2015-05-15 13:33:11 | 社会福祉学
孤独死を未然に防ぐ、もしくは早期に発見できるような取り組みについて、様々な職種が事例を通して報告している。
相談に来るのを待っているだけでは、予防はできない。押し付けではないアプローチが求められる。それを体現している事例報告もあり、参考になった。

引用
・孤独死の背景には高齢の単身者の増加や地域社会での孤立、家庭関係の希薄化、そして経済的な貧困が浮かび上がる。さらに、少子化が進むなか、いずれは高齢者にある若年層の孤独・孤立や貧困を見過ごすことはできない。


本書では、スーパーの出入口によろず相談窓口をつくった、ある地域包括支援センターの取り組みが紹介されている。団地の敷地内にスーパーや金融機関が存在するため、一見便利な環境であると思われがちであるが、自宅とスーパーを往復するだけで生活が成り立ってしまい、人と人との関係が希薄であるという見方もできるという。
単身者等に、老いていくことに対する準備、その上で人とのつながりが必要であること等を知ってもらうために始めたという。

社会福祉士がその活動の中心となっていたようだが、まだ社会福祉士の認知度は高くない。
そのため、法的な相談もできますよと行政書士さんを招き、血圧をはかることができますよと看護師さんに来てもらい…どんな人でも関心を寄せそうなところから切り口を開いていく。その後具体的な支援が必要となれば、関係機関に社会福祉士がつなげていく、結果その人は、地域でのつながりを作っていくことができる。

社会福祉士としては、教科書にまんま載っているような活動であるが、実際にここまでもっていくのは本当に大変であろう。
財源、場所、人手…地域を動かすことは、地域のつながりを強化することにもつながると思うが、本当に難しい。


孤独死を防ぐ―支援の実際と政策の動向
クリエーター情報なし
ミネルヴァ書房
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする